やっぱり教師になりたい

「自分、やっぱり、学校の先生になりたいんです。」

大学1年生のAさんは、明確な目標を持っているような口ぶりこそ見せますが、目はキラキラしていません。抜け殻のような、何かに流されているような、そんな違和感がありました。

話を聞くと、志望していた国立大の教育学部に合格することが出来ず、そこから、出願可能だった、地元の私立大学に「仕方なく」入学しました。しかし、入学してみると、取得する教員免許の種類も非常に限られ、教員採用試験の対策講座もほとんど開かれていないことから、教員の進路を達成した先輩もいないことが分かったのです。なぜ、もっと調べておかなかったの?といいたくなるところですが、センター試験後の二次試験日程が迫る中での私立出願というバタバタの中で、地元だし、教員免許もいちおう取れるし、と一種の興奮状態の中で、選択してしまったのでしょう。

「だから、今の大学の勉強しても意味がないかなっておもっちゃうんです」

と、虚脱感にあふれた言葉をすらすらと吐き出します。その言葉を心配した親御さんから依頼でお話を聞くことになったのです。

編入という方法があるのでは

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そんなに教員になりたいなら、国立大学の教育学部への編入を考えればいいんじゃない?

Aさんはこの言葉に、目を見張るようにして驚いて見せました。その直後の表情は、「そんな方法があったのか」と歓喜するというより、「そんなぁ」と落胆しているようにも見えました。

大学2年の単位を修めた段階で、他大学への編入と言う方法はあります。ただし、編入試験を受験しても、単位履修の関係で2年次に下がってしまう可能性もあります。学年を1年ロスしてしまう可能性を考えると、今の大学に教職課程があるのなら、履修して教員免許の取得を目指すのが、理想的です。但し、倍率や自分が希望する教員免許を取得したいと考えると編入する、ということになります。

もちろん、編入の枠の有無は毎年の学生数や学科によっても異なりますし、有ったとしても若干名と少ないです。全国の編入試験の倍率は、大学や学科によっても異なりますが、おおよそ2.8倍程度、といわれています。

そして、どの道を選んだとしても、教員になるための教員採用試験という壁は同じです。教員採用試験の倍率は地方自治体によって異なりますが、Aさんが受験する県は、高校が高く、小学校は低くなり、科目で言うと社会が数十倍と高く、数学や理科の倍率は1桁です。教員採用試験に不合格だった場合には、臨時教員として、働きながら、合格するまで教員採用試験を受ける、と言うことになります。