大学の学部生による自主研究の発表会「サイエンス・インカレ」(Tech-On!Campusの特設サイト公式サイト)を、文部科学省が初めて開催する。スポーツのインカレ(インターカレッジ。大学間をまたぐ競技大会)と同じように、全国の理系学生が自分たちの研究成果を発表し、その内容を競い合う場だ。優秀な発表には、文部科学大臣表彰などが授与される。自然科学系の全分野を対象としており、理系学生なら誰でも応募できるのも特徴だ。第1回大会は2012年2月18~19日、東京で開催予定。エントリーは、2011年10月18日から受付を開始する。サイエンス・インカレを主催する文部科学省の板倉周一郎氏(科学技術・学術政策局 基盤政策課長)に、イベントの内容や審査のポイントを聞いた。(聞き手は、田中 直樹=Tech-On!Campus)


――初開催となるサイエンス・インカレですが、まだよく知らない学生さんが多いと思いますので、どのようなイベントか簡単にご説明ください。

板倉周一郎氏
サイエンス・インカレを主催する文部科学省の板倉周一郎氏(科学技術・学術政策局 基盤政策課長)

 スポーツのインカレと同じように、科学の世界でも大学の学部生が「競い合える場を作ろう」という思いから企画したイベントです。全国の理系学生が自主研究の成果を発表し、競い合う場とします。応募対象者は大学1~4年次、短期大学1~2年次、高等専門学校4~5年次の学生です。個人または2~3名のチームでの応募できます。学生が主体となって取り組んだ研究を応募対象とします。

 自然科学系の全分野を対象とし、意欲のある理系学生なら誰でも応募できるようにしました。募集分野は「数物・化学系」「工学系」「生物系」「情報・融合領域系」の4分野に区分して実施する予定です。募集分野ごとに「口頭発表部門」と「ポスター発表部門」の2部門を設けます。なお、大会に出場するために必要な旅費や宿泊費は、原則として文部科学省が負担します。第1回大会は2012年2月18~19日、東京で開催する予定です。エントリーは、2011年10月18日から受付を開始します。

――どんな学生に参加してほしいと思っていますか。

 「出る杭になってやろう」という前向きな学生に参加してほしいですね。これからは、国際的な視野を持って、世界で活躍できる人材を育てていくことが必須だと考えています。「出る杭にはならない」という消極的なマインドの研究者や技術者では、海外に出て行くことはないでしょうし、世界で勝つこともないでしょう。

 「出る杭になる」という学生を増やしていくためには、学生同士が競い合える場を作ることが重要だと考え、サイエンス・インカレを企画しました。まず、日本の中で競い合える環境を作る。そして、優秀な成績を収めた人は、日本の中だけで満足しないで、ドンドン世界に出てチャレンジしてもらう。

 こうした好循環を作るためには、「出る杭になる」という前向きな気持ちを正当に評価し、それを伸ばしていくことが重要だと、われわれは考えています。そこで、サイエンス・インカレでは、出る杭を伸ばすことを目指します。「出る杭になってみたい」という、意欲のある学生が勝ち進めるようなサイエンス・インカレにしていきたいと考えています。

――そのためには、審査基準をどうするかが重要になりますね。

 はい。審査基準はこれから決めていくのですが、これが一番のポイントだと思っています。単に勉強ができるだけの人が勝ち進んでも仕方ありません。オリジナリティにあふれ、「皆があっと驚くようなことをしたい」という学生が高く評価されるサイエンス・インカレにしたいと考えています。これから、教育や研究の現場にいる先生方の意見を聞きながら、しっかりと審査基準を検討していきます。