モラトリアムとは、経済用語では「支払猶予」を意味し、発達心理学では「アイデンティティの確立の先延ばし」を意味します。
ただでさえ不安に感じる社会への旅立ち。「不況」「氷河期」と叫ばれる中で、学生は親からの負の言葉に苦しみます。
進路、どうしよう
「好きなことやりたいことをやりなさい」
「せっかく学んだのに、もったいない、活かさないの」
それでも勇気を振り絞って就職活動を始めます。
「それはあなたにむいていないんじゃない」
「そんな会社は聞いたことがない」
「もっといい会社があるんじゃないの」
「そんなにいっぱいうけてどうするの」
「たくさんうけなきゃうからないの」
「おかあさんの時代は就活はそんなんじゃなかったもの」
時には親子喧嘩にもなります。
なかなか決まらない学生は、だんだん八方ふさがりになってきます。見ている親も辛くなってきて、思わず過保護になってしまいます。
「大変なら、いやなら就活やめたら」
「修士や博士とか、専門学校とか、先に進んだ方がいい会社にはいれるんじゃない」
親が子どもにかける言葉は本当に難しいです。今、就職活動している学生は「親のこんな言葉が苦しい」といって、私の前で涙を流します。学校に1日来ると、ティッシュボックス、半分が消費されてしまうほどです。