コナミスポーツでは、精度の高いゴルフシミュレーターを導入。ジュニアゴルファーの育成に努める

 節約志向が高まる中、「家計仕分け」で小遣いを減らされた男性も多いはず。それでも聖域なのがかわいい我が子の習い事。2010年6月から始まった子ども手当の支給も後押しし、子供の知力や体力向上をうたった1万円前後の習い事が人気を集めている。

 中でも伸び盛りなのが、子供向けのゴルフスクールだ。数年前までは、ゴルフと言えば接待や社内コンペなど、企業社会でのたしなみの一部として「オヤジのスポーツ」と捉えられていた。それが今は、石川遼選手や宮里藍選手など若手ゴルファーの活躍もあって、幅広い層に人気が広がっている。

 「ゴルフを始めれば、ウチの子も遼くんや藍ちゃんのように、素直な礼儀正しい子に育ってくれるかも」。日本国内外で海外勢と凛々しく戦う姿に我が子を重ねる親が、新たなゴルフ需要を担いつつある。

ゲーム感覚で腕磨く

 とはいえ、当の子供にとって、ゴルフの打ちっぱなしや練習用ケージでボールを打ち続けるのは退屈なもの。面白みを感じられずに、早々とやめてしまうケースも少なくない。

 そこで注目を浴びているのが、ゴルフバーなどで使われている「ゴルフシミュレーター」を用いたレッスンだ。

 コナミスポーツクラブは全国のコナミスポーツ店舗に約300台のシミュレーターを導入、2010年9月末から独自のゴルフアカデミーを開校した。大人はもちろん、子供向けクラスも用意し、ジュニア育成に力を注ぐ。

 プロギアの協力の下、ゴルフクラブのヘッドの軌道や速さ、ボールの回転などを正確に測定できる独自の診断システムを導入し、効率的に上達できる仕組みを整えた。授業料は週1回クラスで1カ月1万円以下。ペーパー試験やゴルフ場での実践を通じて、プレーする際のマナーなども教える。

室内で腕を磨いた子供たちのやる気を高めようと、屋外ゴルフ場で小学生向けの大会も開催

 2010年末には子供向けのチャレンジカップを開催。予選は全国30施設でシミュレーターを使って同時開催され、約400人の小学生が参加した。親からは「年上の人たちと関わる機会が増え、子供の社会性が向上した」など、ゴルフの腕以上に、内面の成長に期待を寄せる声が多く聞かれる。

 「景況悪化で会員数や売り上げが伸び悩む中、子供向けを含めゴルフ事業は社運を賭けたビジネス。他社が追随できないレベルまで磨き上げたい」。コナミスポーツ&ライフゴルフ事業統括部の日野雄大・統括マネジャーは、意気込みを語る。

道具も大人顔負けに

 ゴルフ用品市場も、子供向けに商機が高まっている。

 石川選手の活躍で一躍注目ブランドとなったヨネックス。同社が扱う「ナノブイ」シリーズが今、ちびっ子ゴルファーの人気を集めている。

 価格はドライバーで1本6300円。大人用クラブに比べて格安なうえ、「せっかくなら、プロと同じクラブを使わせたい」と考える親が、子供に買い与えるケースが目立つ。ジュニア市場の盛り上がりを受け、ヨネックスの2010年の子供向けクラブ販売数量は対前年2.4倍の伸びを見せる。

 大人のゴルフ人口はこの10年で1300万人弱から1000万人強へと下降線をたどっている。そんな中、ジュニア需要が救世主となるかどうか。若手ゴルファーの活躍とともに、目が離せそうにない。