子:私、洋服好きだから販売職しようかな
親:せっかく勉強したのに、もったいないじゃない
子:デザイナーを募集している企業は少ないの
親:今年募集しないなら、留学はどう? スウェーデンなんかどう? お母さん、北欧デザインに憧れてたのよ
子:・・・

という親子の会話です。

 学ばせてもらった手前、「せっかく勉強したんだもの。もったいないじゃない」という学びの損得勘定を言われると、どうにも反論できません。

 「実は、私、デザイン、は自信がないの」、という本音を話せないまま。留学するか、しないか、という本題とは、はずれた議論に入っていってしまいます。

 学びの損得勘定は、子どもの葛藤をより増幅させます。

広告デザイン業界

 「デザインの学びを活かせる業界につかなくちゃ」という親には、「個人事務所でもいいんですか」と聞くことにしています。

 すると、「え? どういう意味ですか」とおっしゃる親御さんが多くいらっしゃいます。広告デザイン業界を理解せずに、「学びを活かす」と言っているだけのことが多いのです。

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 上のチャートは、広告デザインの市場構造図です。

 広告は、一番上の青いところです。クライアント、つまり広告主といわれる企業が広告を作るお金を出します。一般的に、広告・宣伝部、販売促進部、商品企画部、といわれる部署がこの担当です。