燃料電池システムを使って模型電車を走らせる
燃料電池システムを使って模型電車を走らせる
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 鉄道用車両電源として燃料電池を使うことを目指す――。このような目標のもとに燃料電池システムを開発している大阪府立工業高等専門学校が,「セミコン・ジャパン」(2010年12月1~3日,幕張メッセ)の特設ブース「The高専@SEMICON Japan 2010」で,研究開発の成果を披露した。開発した燃料電池システムを使って,模型電車を走らせるデモを実施した。

 今回使用している固体高分子型の燃料電池は,カソード電極に酸素,アノード電極に水素をそれぞれ供給することで,水の電気分解の逆反応によって電気エネルギーを取り出す。酸素は大気から取り込む。模型電車が風を切って走ることで発生する対流を利用するという。

 水素については,今回のデモでは,模型電車に連結した水素ボンベから直接供給していた。今後は,アンモニア分解装置を開発して模型電車に連結し,ここから水素を供給していく計画である。アンモニアの電気分解によって得た水素を水素貯蔵合金にためておき,必要に応じて燃料電池に水素を供給する。アンモニアは,電車内で排出されるし尿から得ることを想定している。また,アンモニアの電気分解には,これまで線路へ捨てていた余剰電力を使用するという。

 燃料電池システムの具体的な利用形態としては,例えば,電化区間と非電化区間の両方を走るディーゼル車への搭載を想定している。電化区間でアンモニアを分解して水素を貯蔵しておく。その水素を利用することで,非電化区間でもディーゼル・エンジンを使わずに,燃料電池のエネルギーによって走行することを考えているという。

動画 模型電車の走行デモ(約1分の動画)

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