矢頭潔氏
TDK 人事教育部人財グループ部長
矢頭 潔 氏

TDKがどのような会社か紹介してください

矢頭氏 当社は酸化鉄を主成分とした優れた磁気特性をもつフェライトの工業化からスタートし、磁気テープ・カセットテープにより一般消費者にも知られるようになりました。今では多様な電子部品を開発・製造しています。当社の製品は携帯電話、パソコン、情報家電から、カーエレクトロニクス、電気自動車、送配電システム、エネルギー、エコ分野まで広い範囲で使われ、社会に貢献しています。

 当社の特長を一言で言うなら「技術開発力」です。創業の原点であるフェライトをはじめとする素材技術、プロセス技術、評価・シミュレーション技術、生産技術、デバイス&モジュール技術という5つのコアテクノロジーをベースにナノテクノロジーを加え、日夜技術革新を続けています。

 また、それぞれのコアテクノロジーはいくつもの技術の集合体です。たとえば、当社の代表的コアテクノロジーのひとつである「素材技術」は、材料設計、微細構造制御・粉体制御、焼成、成形などの技術から構成されます。そのため当社の技術者には、幅広い専門技術が求められます。

どのような人材を求めていますか

矢頭氏 好奇心あふれるチャレンジャーを求めています。それとコミュニケーション能力のある人ですね。

 技術者はプロとして自分の専門と力量を持っていなければなりません。しかし、その技術者の専門技術だけでは製品は生まれません。製品は技術の集合体でもあるわけですから、製品を作り上げるには専門の異なる技術者同士のコミュニケーションが必要です。

 また、技術者の独りよがりの製品ではユーザーから受け入れられません。ユーザーの生の声、真の要望を聞き出し、それを製品に反映させなければなりません。そのためにはユーザーとの対話、社外、協力企業、社内の各部署の人々とのコミュニケーションが必須です。

 また、現在連結ベースで見て、当社の製品の売上高の87%は海外市場向けです。また、製品の8割を海外で生産しています。こうしたことからもわかるように、海外の人たちとのコミュニケーションも非常に大事になっています。英語をはじめとする外国語によるコミュニケーションをいとわず、海外に出て行く積極性がぜひともほしいです。

 新しい製品を手がける以上、自分の専門だけにこだわらず、新しい分野にも興味を持ってチャレンジすることが必要です。また、事業全体に目を向けることも必要です。たとえば、新しい素材を開発した技術者がその素材を使った部品設計に携わり、さらにその部品の生産工程にも関わるというケースもあります。このように、TDKでは、技術者には専門の能力だけでなく、コミュニケーション能力と“柔軟な姿勢”を期待しています。

採用のポイントを教えてください

矢頭潔氏

矢頭氏  採用面接では単に知識を問うのではなく、大学でなぜその研究テーマを選んだのか、どんな研究か、どのような試行錯誤を行い、どのような結果が得られたのか、といったことを問うことで、言われたことをやるだけではなく自分で考え主体的に研究に取り組んだのか、専門外の人にわかりやすく説明できるかなどの点を見ます。

 先ほど期待する技術者像を述べましたが、最初から専門性やコミュニケーション力など望ましい能力を完全に備えている人はいません。しかし、その能力が育つ素地と、柔軟性をもって生涯成長し続けるという意志が備わっていないといけません。当社は「新人技術者が育つ環境を」と心掛けているのですが、当人の意欲と素地があってこそ、その環境も生きると考えています。私たちはこのような視点で、できるだけ多様な人材を人物本位で採用することを心掛けています。

 当然、特定の名門大学を優先するなどということは一切ありません。あくまで本人の能力と人物を見て採用します。結果として、この3年間で年平均80人ほどを採用して、大学は50~60校に分散しています。技術系は大学の研究室推薦が中心と思われるかもしれませんが、現状では自由応募が8割を占めています。最後にくり返しになりますが、当社の自由闊達な社風が皆様の「好奇心とチャレンジ精神」を心待ちにしておりますので宜しくお願い致します。