11月に入り、にわかに師走の足音が近づいてきた。
年末といえば大掃除。日用品メーカー各社の主戦場の1つだ。そんな中、10月下旬に販売を開始し、早くも主婦層から熱烈な支持を得ている商品がある。花王の「クイックルワイパー ふわふわキャッチャーシート」だ。10月末段階で、既に当初計画比の1.6倍の勢いで売れている。
「クイックルワイパーって、昔からある人気商品では?」
確かにその通り。長い柄の先端にある長方形のヘッドにシートをつけ、床を掃除する便利グッズだ。7割以上の人が使用した経験ありというから、一度は目にしたことがあるのではなかろうか。
実はこのロングセラー商品、1994年に発売されて以後、消費者の声を受けて日々進化を続けている。ワイパーの本体自体も、大小合わせて10回以上の改良を重ねてきた。
今回の新製品についても、「掃除機を使わずに、シート1枚でしっかり掃除ができないか」との構想は20年以上前からあったという。掃除に耐えられる強度や加工技術の研究を重ね、ようやく満を持して市場に投入した。
特徴は、毛足の長い繊維の固まりが網目状に並び、シートを形成している点にある。
通常のシートに比べて、埃や髪の毛を吸着しやすく、捕集量も多い。部屋や階段の隅、床の溝や敷居などにも入り込み、気になる汚れを取り除く。繊維に絡め取る力が強いので、取り残しも少ない。
掃除機から雑巾がけ効果まで
「お掃除の“従”としての存在から、“主”へと一歩近づけた」。花王のファブリック&ホームケア事業ユニットホームケア事業グループの柳田浩幸開発マネジャーは、そう胸を張る。
「立ったまま軽い力で掃除できればいいのに」。花王のクイックルワイパー開発は、こんな消費者の声から始まっている。
94年当時、掃除といえば掃除機を使い、床などは仕上げに雑巾がけをするという家庭が一般的だった。
だが、掃除をするたびに物置から掃除機を出し入れするのは面倒くさい。コードを引き回すのも億劫だ。結果、つい掃除を後回しにしてしまうのが実情だった。
クイックルワイパーは、そんな掃除の常識を変えた商品だった。
現在、床用に使うクイックルワイパーのシートは全部で5種類販売されている。
最も一般的なのが、94年に発売された「ドライシート」だ。約50万本のミクロ繊維とネットを3層構造にした厚さ2mmの乾いたシートで、埃や髪の毛、ハウスダストを掃除するのに適している。
2000年以降に発売された「ウエットシート」「立体吸着ウエットシート」はその名の通り、洗浄成分を含んだ商品だ。「雑巾がけの機能を持たせたい」との発想から誕生した。
中でも立体吸着ウエットシートは、掃除機と雑巾の機能を1枚のシートで完結できると人気が高い。シートの繊維が髪の毛や埃を取り、洗浄液の力でべたつきやざらつき、皮脂汚れを取り除く。その後、ワックス液を用いた「ワックスコートシート」で床を保護すると同時に艶を出せば、床掃除は完璧だ。
特長を知れば、上手な使い分けが可能になる。今年の年末はこの“秘密兵器”たちを手に、家族の大掃除に加わってみてはいかがだろうか。