最初に、会社の事業、活動内容を簡単にご紹介ください

ローム 人事部長 松井 克哲 氏
ローム 人事部長 
松井 克哲 氏

松井氏 ロームはエレクトロニクスで社会に貢献することを希求し、創業製品である抵抗器、LSIをはじめトランジスタやダイオード、LEDなどの半導体製品、またそれらを組み合わせたモジュール製品を開発・生産・販売する半導体メーカーです。創業から半世紀が過ぎ、これからの50年を「Next50」と位置付け、グローバル化の進む中、全社一丸となってさらなる発展に邁進しているところです。

現場で活躍しているエンジニアの特徴や志向性を教えてください

松井氏 ロームは企業目的の冒頭に、「われわれは、つねに品質を第一とする」とうたっており、品質を第一とすること、すなわちお客様の満足に応えることを事業の根幹に置いています。若いエンジニアもベテランエンジニアもこの目的に沿い、自分たちの最高の技術でお客様に満足をしていただくために日々努力しています。壁にぶつかってもへこたれず、逆境にあってもつねに活路を見いだしてブレークスルーしていく、そんな強い気持ちのエンジニアがロームの原動力です。そのためには、個人の資質ももちろんですが、周囲の支援を得ながらチームワークとしての成果を目指す協調性、コミュニケーション能力も必要だと思います。

活躍できるエンジニアを育成する土壌とは何でしょう

松井氏 ロームでは、実践の場に身を置き、そこで経験を積むことがエンジニアとして最も早く成長できるプロセスだと考えています。年令が若くても営業社員とともにお客様を訪問し、ニーズをしっかり汲み取り、お客様にとっての最適解を探りながら提案していく、これは他社にはなかなか無い環境であると思っています。

 技術的な知識教育については、社内で「開発教育」プロジェクトを組み、エンジニアに求められる基礎から最新の知識までを網羅して学習できるように取り組んでいます。職場におけるOJTと併用することで、知識を実践で活かす、実践の場で課題となったことを日常の職場から離れたOFF-JTによって再確認することでブラッシュアップしていける、と考えています。

 エンジニアのモチベーション開発のために、研究・開発の成果を発表しエンジニア同士の交流を深める新商品・新技術発表会を年2回開催し、経営トップがポスターセッション方式でエンジニアから成果を聞きます。また、最高額1000万円の社長賞表彰を実施しています。

どのような学生に入社してほしいですか

松井氏 「品質第一」の企業目的に共鳴し、顧客満足を実現させる高い志を持ち、情熱を持って粘り強く研究・開発に打ち込める学生を求めています。技術トレンドの変化や市場のスピードに合わせ素早く動き、ゴールまでの最短距離を自ら考えて行動する、物事の本質を掘り下げて考え、好奇心旺盛でどんなことにも興味をもって取り組む、難局にあってもやり遂げるまであきらめない、現状に満足せずさらなる高みを目指す、すなわち、つねに努力し、自ら成長することで、運を自分の元に手繰り寄せられるような資質を持った学生を求めています。

今後、日本のものづくりを引っ張るエンジニア像とは

松井氏 先ずは、「高い専門知識」とグローバルレベルで物事を考える「広い視野」を持つこと。新興国をはじめ、日本以外の市場を獲得していくためには、マーケットインの思考がますます重要になると考えています。

 自分の技術によってお客様にどれだけ貢献できるか、そしてお客様への貢献を通じて世の中の文化の進歩向上に貢献するという高い志を持つことが必要となるでしょう。この考えは時代や場所を超えて、決して変わらないことと思います。

採用する際のチェックポイントはどこにあるのでしょう

松井氏 高い専門知識と、それでいながら専門のみにこだわらない技術分野への幅広い対応力を有していることです。そのためには、グローバルに活動できる語学力と、柔軟なコミュニケーション能力も必要となりますね。

 研究部門でも、研究センターにこもって研究するだけではなく、大学、他の研究機関とどのように連携するか、また成果をどのような分野に応用できるか、ビジネスの視点から考えられる研究者が数多くいます。研究者であっても、積極的に社外に出向き、ディスカッションするような行動力とコミュニケーション能力が必要となります。

最後にこれから力を入れていく技術領域を教えてください

松井氏 事業を拡大させる分野としては、LED、ハイパワー、医療・健康の三分野です。

 LED事業は、元々の強みであるLEDデバイスと回路技術、電源技術、センシング技術、無線技術、これら5つの技術を融合させることにより、周囲の明るさに合わせた照明空間を創出する、ヒトと環境に優しい照明ソリューションを提供します。

 ハイパワー事業では、業界で先駆けて研究開発に取り組んできたSiC(シリコンカーバイド、炭化ケイ素))の商品開発を積極的に推進しています。従来の半導体(シリコン)では実現できなかった大電力や高効率を実現する次世代の新材料がSiCです。電気自動車をはじめとする、シリコンがこれまで踏み込めなかった領域にとって、強力なエコデバイスとしてSiC製品の拡充が注目を集めています。

 医療・健康事業では、エレクトロニクスが医療の分野と融合したユニークなテクノロジーがカギになります。たとえば「バイオチップ」。半導体に不可欠な微細化技術を応用したもので、微量な血液をバイオチップに通すことにより、検査結果がその場で得られる画期的な製品です。現在はタンパク質検査用のバイオチップが本格的に量産され始めていますが、メタボの検査にも使用できるバイオチップの開発にも取り組んでいます。

 このように、シリコンで実現できない機能を創出するマテリアルイノベーションと、異分野技術を融合するテクノロジーイノベーションを推進します。