日本代表チーム(写真提供:NPO法人日本サイエンスサービス)
日本代表チーム(写真提供:NPO法人日本サイエンスサービス)
[画像のクリックで拡大表示]

 5月9~14日に米国サンノゼで開催された2010年インテル国際学生科学フェア「Intel International Science and Engineering Fair 2010」(Intel ISEF)で,日本代表の3プロジェクトが部門優秀賞を受賞した(プレス・リリース)。

 インテル国際学生科学フェアは,高校生を対象とした世界最大の科学コンクール。2010年は世界59カ国から選抜された1611人の学生が参加し,総勢1000人の審査員に対して研究内容を発表した。審査員には,ノーベル賞受賞者や博士号取得者ががボランティアで参加している。

 今回の国際学生科学フェアには,日本から「ジャパン・サイエンス&エンジニアリング・チャレンジ」(朝日新聞社 主催)の優秀者5人(個人参加2人,グループ参加1組3人の3プロジェクト)と,「日本学生科学賞」(読売新聞社 主催)の優秀者5人(個人参加2人,グループ参加1組3人の3プロジェクト)の,合計10人,6プロジェクトが参加した。

 このうち3プロジェクトが,材料・生体工学部門,植物科学部門,細胞・分子生物学部門で部門優秀賞をそれぞれ獲得した。日本代表の部門優秀賞の結果と各プロジェクトの内容は以下の通り。

 材料・生体工学部門で優秀賞3位に輝いたのが,筑波大学理工学群工学システム学類1年の西田惇さん。「筋電位計測システムの開発とその応用 その2」と題して,腕の動作によってコンピュータを直感的に操作できるようにするシステムの研究成果について発表した。改良された筋電位の増幅回路とノイズ除去フィルタ,フーリエ解析を用いた筋電位のしきい値判定アルゴリズムを新たに独自に開発,実際に9種類のデバイスを製作してその実用性を実証した。

 植物科学部門で優秀賞4位となったのが,新潟県立柏崎翔洋中等教育学校6年の南波紀昭さん。「ガガブタの研究‐不定芽・不定根形成の仕組みについて‐」と題して,新潟県の絶滅危惧種である浮葉植物「ガガブタ」に関する研究成果について発表した。特に葉や茎から二次的に発生する不定芽や不定根を調べ,これらは葉脈を含む切断片の片側からのみ極性的に起こることや,形成促進にいくつかの植物ホルモンが関係していることを,南波さんは突き止めた。この研究成果は、ガガブタの増殖に役立つものと期待されている。

 分子生物学部門で優秀賞4位を獲得したのが,埼玉県立浦和第一女子高等学校3年の仲田穂子さん。「ゾウリムシの細胞内消化」と題して,ゾウリムシの細胞内消化に関する研究成果について発表した。pH指示薬で染色した1μm のラテックス・ビーズをゾウリムシの食胞内に取り込ませて顕微鏡観察した結果,物質のpHによって酸性小胞の供給が変化していることを発見した。また,ゾウリムシは酸性条件化で活性を示す消化酵素(アミラーゼ)を持つと考えられるという。