「セミコン・ジャパン2009」(12月2~4日,幕張メッセ)の高等専門学校(高専)特設ブース「The高専@SEMICON Japan 2009」で,松江工業高等専門学校 電子制御工学科の久間研究室が銀山探査の最新の成果を展示した。久間英樹教授が率いる同研究室は,前回も銀山探査ロボットと坑道(銀の採掘のために作られた通路)の探査の成果について展示していた(Tech-On!関連記事)。今回は,水平坑道(銀山の中を水平方向に走る採掘用通路)だけでなく,立坑(地中の奥深くに向かって縦方向に走る採掘用通路)の探査にも取り組み,その解析に成功している。

立坑探査用に開発した銀山探査ロボット
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 今回,立坑の探査をするために,専用のロボットを新たに開発した。特徴は,重量が水平坑道用ロボットの約1/4の1.1kgと軽いこと。立坑ではロボットをつるしながら探査するために,「軽量化を重視した」(専攻科1年の高橋勇作さん)と言う。

 このロボットを使って,高橋さん達のグループは生野銀山の立坑を探査した。初めての立坑の探査は,困難の連続だった。最初はキャタピラを採用したが,ロボットがうまく走らないことが多く,ゴム・タイヤに変更した。今度は,ゴム・タイヤに泥が入りやすく,やはりロボットがうまく走らない。最後は,歯車のような形に切り出したバスマットをタイヤに使うと,ロボットがうまく走ることを見いだした。

 また,立坑の底に着地後,ロボットを走らせたところ,タイヤにケーブルなどがからんでしまったこともあった。これを解決するために,ロボット後部にケーブル巻き込み防止用のプレートを設けることにした。こうした改良を重ねながら,高橋さん達のグループは立坑の探査を進めていった。

 初めての立坑の探査は,新発見の連続でもあった。最大の驚きは,立坑の下に,さらなる小さな立坑を発見したことだった。「全く考えられないことだったので,衝撃でもあり,嬉しくもあった」と,高橋さんは振り返る。

 こうして立坑の探査を続けた結果,立坑の銀採掘量は水平坑道に比べてかなり多いと推定できることを,高橋さん達のグループは突き止めた。解析の結果は,水平坑道の採掘量は90g/日,これに対して立坑の採掘量は225g/日となった。このことから,当時は水平坑道ではなく立坑で銀を採掘していたと,高橋さん達は結論づけている。なお,225gの銀は,現在の価値で約1万3000円程度だという。

動画 立坑に侵入(約36秒の動画)
ロボットに搭載したカメラで撮影。動画は松江高専の提供。

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動画 立坑全体の様子(約18秒の動画)
ロボットに搭載したカメラで撮影。動画は松江高専の提供。

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