残念ながら、私のいる部署にはしばらくの間新入社員が入っていないのですが、他の部署の新人に接する機会がたまにあると、やっぱり新人っていいな、と思ってしまいます。今年度の初めに、このサイトの企画を練っているとき、入ったばかりの新入社員の人たちに集まってもらって、意見を聞いたことがありましたが、皆、自分の意見を的確に言葉で表現できる人ばかりでちょっと驚きました。へえ、うちの会社の選択眼もあまり節穴ではないのだなと、少しばかり感心したくらいです。

 新しい職場に入っていく皆さんの緊張はいかばかりかと思いますが、私が皆さんにお願いしたいのは、そんなにお行儀よく、猫を被っていたりしないで、とにかく思ったこと、感じたこと、理解できないことがあったら、それを先輩にどんどんぶつけてくださいということです。そのことで「生意気な新人だな、こいつは」と思われることを、決して恐れないでほしいのです。なぜって、新人の皆さんのそういう声こそが、職場を活性化させていくからです。

 私が入社して最初に配属されたのは、今はなくなってしまった材料の雑誌でした。その雑誌は、私たち新人が入社して半年後に創刊される予定で、先輩たちは雑誌の正式な創刊の前に出す「創刊準備号」の編集作業にかかりきりでした。

 でも、そこで私が驚いたのは、その誌面デザインのなんともあか抜けないことでした。表紙の写真はなんとも泥臭いし、誌面全体のデザインに統一感がないし、趣味の悪い黄色い地のページはあるしと、まあ、今思い返しても、けっしてほめられたデザインとはいえませんでした(先輩の皆さまごめんなさい)。

 それで私は生意気にも、編集会議でそのことを意見したり、簡単なデザイン画を描いて提案したり、デザイナーの人に文句をつけたりしていました。でも、当時の先輩方の中には、誰一人として「入社したばかりの新人が偉そうに」などという人はいませんでした。

 それどころか、私の意見に耳を傾けてくれ、面白そうだと言ってくれ、これからもどんどん意見を出してよ、とまで言ってくれたのです。自分たちの手がけてきたデザインをそんな風に言われて、内心、あまり面白くない気持ちもあったはずなのに。