従来にも増して、人と人とのコミュニケーション、広くいえば人間関係が重要な時代だと思います。背景の1つは、ツイッターやユーチューブに象徴されるように、「誰でもメディアの時代」になったからです。「140字のちょっとしたつぶやき」といっても、それは世界中を駆け巡る可能性があるわけですし、そういう自分もいつ、どこで撮影されて、それがウェブ上に掲載されているのかわかりません。あうんの呼吸がないと、そんなことから人間関係がおかしくなってしまうこともあるでしょう。

 2つ目としては、この連載の18回目でも書きましたが、産業界で「異種格闘技戦」が増えていることがあります。従来の業界、分野といった垣根がどんどん崩れ、異業種とされてきた企業が続々と新規参入してきたり、異業種同士で手を組んだりするケースが相次いでいるのです。早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授は、「異なる事業構造を持つ企業が、異なるルールで、同じ顧客や市場を奪い合う」時代と喝破しています。ルールが異なるわけですから、きちんとコミュニケ-ションしないと、大喧嘩になってしまいます。

 3つ目は、外国人との付き合い。日経ビジネスは11月23日号で「移民YES~1000万人の労働力不足がやってくる」という特集を掲載しました。もはや日本人だけでは、日本の企業も、経済も、国全体も支えることができず、これから大量の外国人と共生していかないと日本は国として持ちこたえられない。そんなことを強調しました。11月30日付の日本経済新聞では、伊藤忠商事が外国籍社員を積極的に登用している「世界人材戦略」を紹介しています。歴史も文化も風土も異なる人々とチームワークを良く保ちながら、様々な仕事に挑んでいく必要がある時代なのです。

ストーカーとは「9.9×0.1」のような状態

 人と人とのコミュニケーション、人間関係が良いということは、どんな状態を指すのでしょうか。私は、勝手に「5×5の法則」と命名した考え方でこれを説明しています。分かりやすい人間関係の例として、「男女の恋愛」を取り上げて、5×5の法則を説明してみたいと思います。

 恋愛が深まるということは、どういうことを指すのでしょう。「相手のためなら何でもできる、究極は死ねるような関係になること」「熱情を超して、空気のような存在になること」……。人それぞれいろいろな視点があるはずです。