皆さんは、自分がどういう命の連鎖の中で生まれてきたのか、考えてみたことがありますか? 二重らせん、DNAの鎖についてはご存知の方も多いと思いますが、DNAとDNAが組み合わさって、そこからまた違うDNAとの組み合わせができて……。

 「自分」という生命体が誕生するまで、いったいどのくらいの祖先たちが存在し、自分という命につながっているのかと考えると気が遠くなるようです。ある意味では、偶然または必然の連鎖の結果が、いまの自分という存在を作り上げているわけで、髪の毛の色も、肌の色も、性格も、体型も、感受性も、すべては人類という“種”が進化していくプロセスで生まれた偶然の賜物といえそうです。

 でも、現代社会に生きる私たちは、人間は祖先から営々とつながっている生き物であることをとかく忘れがち。“自分”だけが、種と切り離されて、ポツネンと生きているかのように思いがちで、逆に言えば、今自分の周りで起きているすべてのことが“自分”とのかかわり合いの中でだけで存在すると誤解している人も多いのではないでしょうか。

 運命という言葉はあまりにも重たすぎると思いますが、あなたが今いる人生のポジションはいろいろな意味で、あなたが選んだものであると同時に、偶然の積み重ねによって生まれたものとも言えると思います。

人生の責任のすべてを引き受ける必要はない

 そう考えると、今の状況が思い通りのものでなかったり、不満足なものであったとしても、仕方のないことで、自分の意思と努力だけではいかんともしがたい環境だということもできると思うのです。望む仕事につけなかったり、友人関係がうまくいかなかったり、恋愛がハッピーなものでなかったり。それらはある意味で、自分自身にすべて責任があるというものでもない。そう考えると、少し気持ちがラクになりませんか?

 あなたの人生の責任をすべてを自分で引き受けて、自分で自分をつらくする必要はない、とひろりんママは思います。

 前向きに生きることは大事だと思いますが、前向きに生きること(=向上心)といろいろなことへの欲(=執着)は紙一重。すべてが好循環で回っている時はいいのですが、一度、つまづきがあると、執着と欲の矛先は自分にすべて向かってきて、自分で自分を苦しめることにもなりかねません。