Google日本法人の大倉務氏
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ロームの高須秀視氏
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日本写真印刷の面了明氏
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モバイル&ゲームスタジオの遠藤雅伸氏
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NTTドコモの岩本健嗣氏
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元シャープの枅川正也氏
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 「技術力の高いBtoBの企業を知ることができて、視野が広がった」「1日のイベントで、これだけ広い視点を持てるようになるとは思わなかった」「就職活動に対する考え方が大きく変わった」「エンジニアの仕事に対するイメージがわいた」――。10月10日、東京・大手町の日経ホールで開催されたTech-On!Campus主催の理系学生向け仕事研究イベント「だから、エンジニアは面白い」は、終始、学生達の熱い熱気に包まれた。

 イベント当日は、IT、通信、電機、電子部品、ゲーム、印刷など多種多様な業界の講師が、エンジニアの果たす役割、エンジニアとして働く魅力、技術とビジネスなどについて、参加者の学生に向かって直接語りかけた。

 イベントは、Google 日本法人 ソフトウエアエンジニアの大倉務さんの講演から始まり、上智大学 Sophia Racing プロジェクトリーダーの門倉章太さんと日経Automotive Technology 編集長の鶴原吉郎によるトークセッション、さらに日経エレクトロニクス 編集長の田野倉保雄による講演へと続いた。各講演後の質疑応答も活発で、時間は押し気味となった。昼の「現役編集長による理系学生のための就職相談コーナー」では、筆者も相談員として参加したが、たくさんの学生に囲まれ、あっという間に予定の時間が過ぎていった。

 今回のイベントでは、いわゆる“就活イベント”ではなかなか聞かれないようなメッセージが、講師陣から発せられた。以降では、そのいくつかを紹介する。

 (1)エンジニアは、世界を舞台に仕事できるチャンスに恵まれていること。これを、自身の体験に基づいて分かりやすく語ってくれたのが、Google日本法人の大倉務氏だ。世界中のエンジニアと共に、世界中の人に貢献できることを、自身が担当した検索サービスの改良プロジェクトを例に挙げて語った。

 (2)世の中には、有名でなくても技術力の高い会社がたくさんあること。つまり、エンジニアが活躍できる場は、想像以上に多いことである。今回のイベントに参加した学生に、午後の企業講演に登壇したロームと日本写真印刷について聞いたところ、両社を「以前から知っていた」という学生はそれほど多くはなかった。確かに両社ともあまり知名度は高くないが、いずれも日本を代表する世界的な企業である。ロームは、日本のカスタムLSI市場を席巻し、日本のエレクトロニクス・メーカーとしてはトップクラスの利益率を達成している。日本写真印刷は、タッチ・パネルの市場で世界シェア1位のメーカーである。世界的人気の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」のタッチ・パネルを生産しているのも、日本写真印刷だ。エンジニアが活躍できる舞台は、トヨタやホンダ、ソニーやパナソニックといった有名企業だけに限らない。

 (3)会社だけでなく、仕事の内容についても、調べる余地はたくさんあること。今回のイベントでは、「ゲームのお仕事」と題してモバイル&ゲームスタジオの遠藤雅伸氏が講演した。遠藤氏は、ゲーム業界では技術が重要視されており、エンジニアの活躍の舞台が広がっていることを説明した。講演を聴いた学生からは、「ゲーム業界の仕事の内容をここまで詳しく知ることができたのは初めて」という声が聞かれた。また、企業には、エンジニアの経験を生かして、他分野で活躍している人もたくさんいる。午後の企業講演で登壇した、NTTドコモ 人事部 人事採用担当の岩本健嗣氏も、その一人である。講演では、自らが研究開発部門に所属していた時の経験を交えながら、「NTTドコモで活躍する理系出身社員が、何を考え、どのような環境・想いで働いているのか」を、分かりやすく語った。

 (4)「好き」という気持ちが大切なこと。これを、「ものづくりは好きに始まり感動に終わる」という言葉で伝えたのが、元シャープ常務取締役フェロー(現FPDアソシエーツ代表)の枅川正也氏である。同氏は、液晶産業を立ち上げてきた自らの経験を踏まえて、「好きという気持ち」「興味を持つこと」の大切さを訴えた。エンジニアとして液晶産業を1980年代から日本で立ち上げてきた枅川氏の言葉は、多くの学生の心を捉えたようだった。

イベント「だから、エンジニアは面白い」のプログラム
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