同じマンションに住む知人の大学4年生のお嬢さんが、いまだに就職活動で走り回っているということを聞きました。そのお嬢さんは大変な才媛なので、おそらく、高望みしなければすぐにでも決まるのでしょうけれど、きっと自分の理想をぎりぎりまで追求しているのだと思います。同じような境遇の学生の皆さんも、きっといらっしゃると思います。私にも大学2年生の娘がいますから、全然他人事ではありません。

 いくら努力しても、その成果が見えないときって、つい「今自分がしていることはいったい何なのだろう」とか「あの時もっとこうしていれば」とか思ってしまいますよね(私なんか、今でもそうですけれど)。

 この間、こんな言葉を見つけました。うろ覚えなので、細かいところは違っているかもしれませんが、こんな意味の言葉でした。

「物事がうまくいかなくて苦しいときは、自分が成長しているときだ。物事がうまくいっているときは、自分が成長していないときだ」

 皆さんの親くらいの歳になって、つくづく思うのは、人生って、無駄なことはないということです。そのとき、無駄な空回りをしているように見えても、それって、後で必ず自分の栄養になっていると思うのです。

 私は、就職ではそれほど苦労しませんでしたが、大学を卒業するのに、とても苦労しました。前の文章でも書きましたが、私の指導教授はちょっと変わっているので有名な人でした。学校に出てくるのは週に4日だけでいい。その代わり、その4日間は、昼夜を問わず研究しろ、という方針でした。

 先生もその4日間しか学校に出てこず、その代わり、先生がいる間は、勝手に帰宅することは許されません。帰宅する前には必ず、先生のところに行って、自分が今担当しているところがどうなっているか、報告しなければなりません。すると必ず先生は「ここはどうなっとるんや」と指摘してきます。私たちはすごすごと引き下がり、結局、先生が明け方近くに帰宅するまで、帰れないはめになります。