経営再建を進めている日本航空(JAL)が経営改善計画の策定に向けて、海外の航空会社との提携などによる資金調達に動き出しました。航空最大手の米デルタ航空をはじめ、欧州最大手のエールフランス―KLM、さらには米アメリカン航空とも交渉に入ったと報じられており、「JAL争奪戦」のような様相を呈しています。

 航空業界の再編は米同時テロや原油価格の高騰で各社の業績が悪化し、デルタやノースウエスト、ユナイテッド航空の持ち株会社であるUALが破産法を申請したことが大きなきっかけです。ただ、航空各社の間ではマイレージ競争が激化し、結果として「隠れ負債」が膨らんで財務体質が悪化したことも見逃せません。

 日本での強制適用も迫ってきた国際会計基準(IFRS=アイファース、イファース、アイエフアールエスなどと呼ぶ)ではマイレージなどポイントの会計処理が厳格になり、売り上げからは完全に控除され、負債として計上することになります。加えて、JALなどにとっては資産計上額が大きいリース資産の会計処理も厳格になる方向で議論が進んでおり、IFRSが航空各社の会計に与える影響は大きそうです。

会社の「ヒトの部分」を重視すれば…

 企業全体にとって、IFRSによる影響が大きいのは利益の概念が変わることです。日本では基本的に「収益-費用」による純利益が重視されてきましたが、IFRSでは「期末の純資産-期首の純資産」である包括利益が適用されます。つまり、工場などの不動産や持ち合い株式などすぐに売却する予定がない資産も含めて、期首と期末の評価額の差がすべて利益に反映されてくる訳です。