取り替えたらこんなに節水、取り替えたらこんなに節約──。東京都内のホームセンター。水栓売り場で、こんなキャッチコピーを掲げるのがTOTOのシャワーヘッド、「クリックシャワー」だ。
なぜ節水につながるのか。理由は2つ。1つはシャワーの穴を小さくすることで、シャワーの勢いを殺さずに、流れる水量を減らすことができること。もう1つはシャワーを持った手で握る部分の上部についたボタンを押せば、一時的に出したり、止めたりできる一時止水機能がついているからだ。
年1万8000円の節約に
4人家族で、それぞれが毎日1回シャワーを浴びることを前提にTOTOが試算したところ、普通のシャワーなら毎分10リットルのお湯を使うのに対して、クリックシャワーを使えば8.5リットルで済む。さらに一時止水機能を使えば、お湯を無駄に垂れ流す時間が減る。
年間2万3360リットル、バスタブで130杯分の節水になるという。都内の場合、水道料金で約6000円、ガス料金で約1万2000円、合計1万8000円の節約効果があるという。逆流防止用ホースとセットで定価1万2495円。1年間の節約効果で十分に元が取れる計算だ。
「節水では売れない」。水洗金具業界ではそういう時代が長く続いた。湯水のように使う、という言葉に象徴されるように、日本人にとって水や湯は、際限なくわき出るものとして考えられてきたからだ。しかしここにきて、環境意識の高まりとともに、景気悪化による節約意識が追い風となっている。
TOTO以外にも、節水シャワーヘッドは、様々なメーカーから発売されている。
三栄水栓製作所(大阪市)の「節水シャワヘッド(シャモジー)」(1785円)は、その名の通り、しゃもじに似た形で、薄くて軽くて持ちやすい。これもシャワーの穴を工夫することで、同社の従来製品に比べて40%の節水効果を実現した。またTOTOのクリックシャワー同様、一時止水機能がついた「ストップシャワヘッド(シャモジー)」(オープン価格、実売3000円程度)も昨年から発売している。
田川化工(福岡県香春町)の「助太刀3A」(7140円)は、大熊洋史社長の「水不足で苦労し、何とか水の量が少なくても勢いのあるシャワーはできないか」という思いで開発した。水圧が低くてシャワーがチョロチョロとしか出ない場所でも、水勢は衰えない。
助太刀3Aは家庭向けだけでなく、従来、美容室やホテルなどで根強い人気を誇る。最近はスポーツジムが経費節減のためにシャワールームのシャワーヘッドをまとめて交換するケースも多いという。
マッサージ機能付きも
またカクダイ(大阪市)の「低水圧用マッサージストップシャワ」(5880円)は、低水圧対応、一時止水に、マッサージ機能がついた商品。シャワーヘッドの部分を回転させることで、集中的に頭皮をマッサージすることができる。今年は昨年の2倍のペースで売れているという。
環境と家計に優しい、シャワーヘッド。快適なシャワーの勢いで、夏の暑さと日差しで疲れた肌を癒やすと同時に、節水による地球環境への貢献で気持ちもすっきりする、注目のアイテムと言えそうだ。