このコラムを読んでくださっている皆さんは、みな、受験のハードルを苦労して越えてきた人ばかりのはず。そして、今また、就職というハードルを前に、思い悩んでいらっしゃる方も多いのではないかと思います。正直申し上げて、皆さんの就職がうまくいくかどうかは分かりません。うまく希望通りの就職ができた方には、心からのおめでとうを申し上げたいと思いますが、経済環境が厳しい中で、正直、希望通りの就職ができない方の方が多くなるのではないか、とちょっと心配しています。

 まだ20年少しの人生しか生きていない皆さんにとって、受験・就職や恋愛で自分が思う通りの進路に進めない、というのは、大変な挫折に感じられると思いますし、挫折にあった時の悲しみや苦しみは、つらいだろうな、と気の毒に思います。でもね、人生46年間も生きてくると、小さな挫折、大きな挫折も含めて、世の中は自分の思う通りにいかないことがほとんどなのだと、だんだん分かってくるようになるように思うんですよ。

人生、こんなはずじゃなかった

 ひろりんママの明治生まれのおばあちゃんは「人生、うまくいかなくて当たり前。うまくいくことなど、ほとんどないのだから、うまくいった時には“有り難い”と言って、感謝しなければ」と口癖のようによく言っていました。まだ若くて、人生は自分の努力で何とでも切り開いていけると信じていたひろりんママは、その言葉の重みなど、分かるはずもなく「ふうん」と思って聞いていました。でも、その言葉が、このところ、妙に心に沁みるのです。

 受験や、就職、転職、恋愛、結婚、離婚……。誰の人生にもさまざまな出来事がありますが、人間とは勝手なもので、どれもこれも「うまくいって当たり前」という全く根拠のない潜在意識があります。私だけは受かりたい、私だけはパスしたい、私だけは成功したい、私だけは幸せになりたい。誰しも心のどこかに「自分だけは不幸や失敗を避けて通りたい」という意識があるのではないでしょうか。少なくとも、凡人のひろりんママはそうです。「他の皆がみんな失敗しても、自分だけは何とかうまくのほほんと穏やかに暮らせないものだろうか」と、いつもムシのいいことを考えています(笑)。

 でも、そんなことあるわけはないですよね。つらいこと、悲しいこと、苦しいことは、自分をわざわざ選んで降りかかってくるように思えてなりません。そのたびに、自分の努力不足は棚にあげて「こんなはずじゃなかった」と天を仰いで、ため息をつき、愚痴をつぶやく繰り返しで、何だかあっという間に時間が過ぎ去っていったような気がします。