民主党の鳩山由紀夫代表は8月31日深夜の記者会見などで、「明治維新以来の官僚主導体制の弊害を除去し、政治主導に変える」と改めて強調していました。これが実現できれば、確かに鳩山氏が言うような「革命的なこと」でしょう。ただ、このことは本来、政党や政治家だけに頼るべきことではなく、国民一人ひとりが意識を持って変わるべきことであるはずです。

 官僚主導、官僚依存の体質ということは、言い換えてみれば「お上意識」が強い体質ということです。「日本人はお上意識が強い」と言われてきたことを振り返ってみると、明治維新以来どころか、江戸時代あたりからずっとそういった傾向が強かったのだと思います。

 皆がいつも群れていて同じ方向に泳いでいくメダカの習性を捉え、「日本人はメダカ民族のようなものだ」などとも言われてきました。小泉政権下で実施された前回の「郵政総選挙」と、今回の「政権選択総選挙」。わずか4年余りという短期間のうちに、全く異なる理念や目指す方向を掲げて選挙に臨んだ政党がともに圧勝したという現象は、メダカ効果が後押しして国民の本来の思い以上の数字に振れ過ぎた側面があるのではないでしょうか。

 もちろん、「自民党政治にホトホト嫌気が差し、もういい加減に政治を刷新しないとダメだ」という積年の鬱積が爆発して歴史的な政権交代を生んだ意義は大きいでしょう。しかし、それでもやはり「とにかく1度、民主党にやらせてみよう」という受身的な気持ちだけでは、極めて強固な官僚主導体制は簡単には変わらない。国民が日々の暮らしの中で「お上の言うことにはとにかく従う」という思考停止状態から脱却し、明らかにおかしいことに対しては自らが言動をもって異議を唱えることが欠かせないはずです。それこそが国民にとっての「自立」であり、政治を変える、国のかたちを変える原動力になるのだと思います。