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宇宙甲子園

情熱と、ライバルと、仲間と

缶サット甲子園が目指す“人づくり”立国(第2回)

  • 高橋 史忠=日経エレクトロニクス
  • 2009/08/18 00:00
  • 1/4ページ
(前回から続く)

 2008年春――。

 東京・港区にある東京工業大学付属科学技術高校。物理科実習助手の小菅京氏に、同校2年の小黒純平君が直談判していた。

 「缶サット甲子園に出たい」

 それに先立つ同年2月。小菅氏が世話役となり、東工大付属は、秋田大学ものづくり創造工学センターの秋山演亮氏(現・和歌山大学特任教授)の講演会を開いた。

 民間企業の研究者として、多くの宇宙関連プロジェクトに携わった経験のある秋山氏は、ものづくり創造工学センター長の土岐仁教授とともに「能代宇宙イベント」を企画した中心人物。同イベントは、秋田県能代市で毎年夏に開催される、アマチュアによる日本最大規模のロケット打ち上げ大会だ。

出場したい、でもハードルが…

 講演会で秋山氏は、国内のロケット関連の話題や女子高生によるロケット製作プロジェクト「ロケットガール養成講座」などを紹介。それらに加え、2008年に能代宇宙イベントで初めて開催する競技について話した。それが、高校生を対象にした缶サットの競技大会「缶サット甲子園」だった。

缶サット甲子園に出たい
東京工業大学付属科学技術高校の開発チームの3人。左から小黒君、中村君、増田君(写真:同校提供)
[画像のクリックで拡大表示]

 缶サットは、空き缶を使った模擬的な人工衛星。数百メートルの上空で放たれ、地上に降りてくる。缶サット競技は、その途中の制御技術を特定のルールの中で競う。小黒君は、講演会で聞いたこの競技に興味を持ち、小菅氏に競技への出場を自ら志願した。

 その後、講演会に参加した2年生の増田憲君、1年生の中村圭亨君が、小黒君と同じように同氏に参加を申し出た。ただ、3人の出場にはハードルが一つあった。

 東工大付属は1886(明治19)年創立で120年超の歴史を持つ国立唯一の工業高校。カリキュラムが一般の高校とは異なる。2年生から科学技術に関する専門学習が始まり、3年生は「課題研究」と呼ぶ専攻分野の研究を手掛けなければならない。

 缶サットの大会が行われる2008年の夏休みに小黒君と増田君は3年生。課題研究に加え、大学受験を控えた夏である。その大切な時期に、課題研究と缶サット競技を並行して進めるのは難しいと、校内で心配する声が上がったのだ。科学技術、ものづくりの発展に寄与するという名目とはいえ、初めて開催される、海のものとも山のものとも分からない大会だったのだから,無理もない。

 それでも、2人はあきらめられない。

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