世の中には,外から見ているだけでは分からないけれど,中に入ってみると見えてくることがよくあります。それは,会社も同じです。入社して初めて,自分の会社には「こんな良い点があるのか」「こんな問題点があったのか」と気づかされる。ほとんどの人がそうした経験を持っていることが,今回のTech-On!読者へのアンケート結果からも分かります。

 それでは,入社して初めて分かった会社の良い点あるいは問題点として,技術者は具体的にどのような点を挙げているのでしょうか。その回答から,自動車業界や電機業界の会社の内側を探ります。

 就職活動を控えた学生の皆さんが会社を選ぶときには,表に見える情報だけではなく,表に出てこない部分も含めて,その会社の本当の姿をぜひ知りたいと思うことでしょう。ただ,何事も,内情や実態を知ることは簡単ではありません。会社の場合も同じです。その会社が積極的に宣伝している情報を手に入れるのは容易ですが,そうでない情報を得るのはとても困難です。例えば,その会社に就職した学校のOBを訪問して話を直接聞くような,地道な取り組みが欠かせません。しかし,一人で訪問できるOBの人数には限界があります。

 そこで,今回Tech-On!では読者1000人に,「入社して分かった自分の会社の良い点や問題点」について聞いてみました。これらの回答からは,自動車業界や電機業界の会社の実情の一端が見えてきます。

学生時代に想像していたよりもずっと,仕事は楽しい

 まず,「入社して分かった自分の会社の良い点」について聞いてみました(Q1)。結果は,「仕事の中身」に関する回答が上位を占めました。学生の時に考えていたよりもずっと,仕事をエンジョイしている技術者が多いようです。

Q1 入社して分かった,自分の会社の良い点は何ですか(複数選択)
「仕事の中身」に関する回答が上位を占めた。回答数は1053。
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 最も多かったのは,「仕事をしながら自分の実力を高めることができる」という回答でした。全体の4割を超える,42%の支持を集めました。「手に職をつける」という言葉がありますが,自分のスキルアップにつなげやすいという特徴が,技術者の仕事にはあると言えそうです。

 2番目に多かったのは,「やりたいことを,やらせてくれる」の34.1%でした。誰しも最初は,「自分のやりたいことを仕事にしたい」と思うことでしょう。現実社会はそんなに甘いモノではありませんが,技術者の場合,3人に1人は「やりたいことをやらせてくれている」と感じているという結果になりました。

 3番目に多かったのは,「楽しい仕事に出会えた」の23.4%です。学生の時には想像もしなかったような「楽しい仕事」に,会社に入ってから巡り会えた。そんな技術者もたくさんいることが分かります。たとえ学生時代に「やりたい仕事」を明確にイメージできなくても,あまり深刻に心配する必要はないのかもしれません。

 4番目に多かったのは,「不況のわりに仕事がある」の20.8%です。「仕事の中身」とは違いますが,4番目も仕事に関する項目でした。中には,あまり意味のない仕事もあるかもしれません。ただ,これだけの支持を集めたことを考えると,これほどの不況でも「技術者の出番は結構ある」と言えそうです。