しばらく前、ひろりんママが女性誌を担当していた頃、世界の20代の女性たちの意識を比較するアンケート調査をやったことがあります(面白いでしょ)。そこで面白いことに気づきました。日本の女性は、年収や住まい、持っている洋服・靴の数、就業率などのプロフィール面でみれば、他国の女性たちに比べてはるかに恵まれているのに、幸福実感度では、なんと最低だったのです。

 正直、ちょっと驚きましたし、米国の友人たちにこの話をしても、すぐには信じてもらえませんでした。当然ですよね。日本の女性は、ファッションセンスも良くって、教育も受けていて、社会への門戸もそれなりに開かれているように見える。日本のファッション誌の街角スナップなどに登場する女性たちは、世界中の憧れの的なのですから。

ずらっと並んだ「どうして」と「どうせ」

 それでも調査票を見ると「自分は幸せではない」と言う女性がかなりいました。自由記述欄には「どうして私は・・・・・」「どうせ私は・・・・・・」というコメントがずらっと並んでいました。その恨み節が発する負のエネルギーのパワーに思わずクラクラとめまいがしそうになったほどです。

 コメントを詳細に見れば、悩みはさまざまです。美人じゃないこと、太っていること、スタイルが悪いこと、希望の学校や会社に入れなかったこと、人間関係がうまくいっていないこと、好きな人が見つからないこと・・・・・・。それは当人たちにとっては、深刻な悩みなのでしょうけれど、ひろりんママは、思わず調査票の向こうにいる女性たちに語りかけたくなってしまいました。「自分のことをそんなに嫌いで、生きるのがつらくないですか?」と。

自分のいいところは自分で探す

 もちろん、自分の嫌いなところを自分で直す、負のコンプレックスを前進エネルギーにして、成功している人もたくさんいます。でも、好むと好まざるとにかかわらず、自分と一番長い時間一緒にいなければならないのは自分自身です。いつも一緒にいる人が大嫌いな人だったら、一番つらいのは自分自身ではないでしょうか。

 ひろりんママだって、コンプレックスはたくさんあります。決して痩せているとはいえませんし(笑)、もちろん絶世の美女でなんかあるわけがありません。すぐキッと怒るわりには、小さなことをアレコレいつまでもクヨクヨ悩みます。そのわりには、素直じゃないし、意地っ張りだし、人から言われた言葉への猜疑心も強い。

 でもね、そういう嫌なとこばっかりを見ていてもしょうがないじゃないですか。自分のいいところは自分で一生懸命さがして、それを育てていくしかないんだと思うんですよ。逆に言うならば、そういうダメな自分を自分が可愛がってあげなかったら、いったい誰が可愛がってくれるんでしょう。

自分を捨てては生きられないから

 「どうして」と「どうせ」のフレーズには、自分で自分を慈しむ響きは感じられません。自分の気に入らない部分をすべて外に転化して、自分は一切の前向きな努力を放棄する「あなた・まかせ」のニュアンスが感じられてならないのです。

 これから社会人になる皆さんには、帰宅してバッグを放り出してソファに寝転びたくなる日もたくさんあると思います。自己嫌悪で鏡をみたくもないという日もたくさんあります。

 でも、心の中のつぶやきに「どうして私は」と「どうせ私は」というフレーズが浮かんだら、ちょっと立ち止まってほしいなと思います。あなたにはあなたにしかない良さがきっとある。その良さを探すのは自分しかいなくて、その良さを伸ばしていくのも自分しかいないのだ、ということをもう一度考えてほしいのです。

 あなたは、あなた自身以外の人間としては、生きられませんよね。長い人生、毎日、毎日一緒に歩いていかなければならない自分だからこそ、自分と対話し、自分を育て、自分を励ましながら生きていってほしいなと思うのです。