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HOMEスキルアップマネジメント新聞を読まない君たちへ > どこが本当の「新興国」なのか

新聞を読まない君たちへ

どこが本当の「新興国」なのか

  • 梅谷 哲夫=日経ビジネス 編集長
  • 2009/07/06 14:00
  • 1/1ページ

 7月8日からイタリアのラクイラで開かれる主要国首脳会議(G8サミット)を控え、地球温暖化問題を巡る対策で先進国と新興国との溝が深く、「南北対立の様相を呈している」といった新聞報道が目立ちます。温室効果ガス削減の目標設定については、2009年12月に開催されるCOP15(国連気候変動枠組み条約締約国会議)をにらんで、今後も各国間での応酬が続くでしょう。

 ところで、「新興国」という存在は、そもそも何を意味するものなのでしょう。もちろん、ここで言う新興国に絞ってみれば、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)とか、ネクスト11と呼ばれる韓国やベトナム、トルコ、イランなど、G20(20カ国財務相・中央銀行総裁会議)のメンバーに入っているインドネシア、オーストラリア、南アフリカ、メキシコなどを指すことになります。

 ただ、ロシア(旧ソ連)で言えば、私が就職活動をしていた1985年ごろはまだ冷戦構造が崩壊していなかったため、米国と対峙する超大国だったわけですし、中国も第二次世界大戦以降、国連(=United Nationは日本語の連合国も意味する)の常任理事国です。ロシアや中国の視点に立って、日露戦争、日清戦争のころから振り返って考えた場合、急速な経済成長を果たした日本こそが新興国といえるのでしょう。

 さらにもっとさかのぼってみると、米国こそが典型的な新興国といえる存在です。何しろ3500年~4000年も前に栄えたといわれる黄河文明やインダス文明を源流とする中国やインドに対して、米国は独立宣言をした1776年からたかだか230年余りしかたっていない存在ですから。

日本は果たして「成熟」しているのか

 著名な経済学者、経済史家であるアンガス・マディソン氏によると、1820年ごろまでは中国とインドのGDPの合計は世界全体のGDPの約半分を占める規模であり、欧米が発展する以前の世界経済の盟主はアジアだったのです。その後、欧米の浮上とアジアの相対的な地位の低下が続き、中国+インドのGDPシェアは1973年にわずか8%弱まで急降下。それから盛り返してきて現在は20%前後まで復活したとみられますが、中国やインドが「新興国」といえるのは、まさにこの直近30年程度のことです。

 おそらく何千年もの歴史を育んできた中国やインドからすれば、「我々がアヘン戦争や東インド会社による植民地化でちょっと体調を崩していたこの150年ぐらいの間、米国や日本はたまたま急成長しただけ。その急成長のほころびが見えてきた今、また我々が世界を牽引する時代になっても何ら不思議はない」といった気持ちではないでしょうか。

 少子・高齢化問題などに悩む日本は「成熟国家」といわれますが、それは一つの側面に過ぎないのでしょう。外需依存の急速な工業化による経済発展というモデルからすれば、確かにその勢いは衰え、そうした延長戦上で考えている限りはもはや高い経済成長は見込めない。こうした限界は謙虚に認めないといけないと思います。

 でも、数千年前の文明を源流とする歴史ある国々や、幾多の戦争や文化の隆盛を繰り返してきた欧州からすれば、「日本が成熟国家」というのは、ちゃんちゃらおかしいことかもしれません。2009年に横浜で「開国博Y150」が開かれているということは、日本が本格的な外交を始めてから150年しか経っていないことを意味するし、そもそも民主主義の土台はどれだけ整っているのか、米国に依存してきた安全保障問題をどう考えるのか、といった国家の根幹がどれほど成熟しているのかといえば、甚だ疑問だからです。

 オスマン帝国は数百年にわたる隆盛を極めた大帝国でしたが、成熟化して衰退した後、独立を果たしたトルコ共和国は今、新興国といわれる存在です。要するに、時代によって、あるいはテーマによって、新興国と成熟国が常に入れ替わってきたのが大きな歴史の流れでしょう。日本も「成熟」「夕暮れ時」などと悲観的になるばかりでなく、次の新興国へ向かって体制を立て直すべき時です。「100年に1度の大転換期」こそが、まさにそのチャンスを与えてくれると信じましょう。

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