2006年を読む●市場動向
マクロの不透明要因はあるが
2006年も巡航速度の成長は可能
ゴールドマン・サックス証券会社
東京支店 調査部
堀江 伸氏
原油価格の高騰,マクロの不透明要因など不安要素はあるが,2006年の半導体市場は5〜10%の巡航速度の伸びが期待できると見ている。 2006年の半導体市場のけん引役になるのは,(1)パソコン(PC)と携帯電話機の数量の継続的な伸び,(2)ゲーム向け半導体の増加,(3)NAND型フラッシュ・メモリーの成長,(4)通信機器向け半導体の伸びであろう。電子機器全般に大型のキラー・アプリケーションがないため,最終製品の価格下落は引き続き厳しいと思われるが,線幅の縮小によりコストダウンを吸収できる半導体にとっては,最終製品に比べて相対的に価格圧力が収益に与える影響は少ないと考えられる(図1)。
SICAS,SIA,ゴールドマン・サックス調査部のデータ。
■PCと携帯電話機の数量増は持続
最近1〜2年,新興国の経済成長が素材価格の高騰を招いているが,電子機器でも似たような動きが見られる。鉄鋼や金属,化学製品などにおいては,中国・インドをはじめとする人口の多い新興国の所得が上昇してきたことで需要が急増し,長らく設備投資を行っていなかった。それらの生産能力が追いつかず,需給がひっ迫して単価が高騰した。似たようなことはPCや携帯電話機でも起こっており,先進国ではかなり成熟感が出てきたと見られていたPCと携帯電話機が新興国の需要の急増によって2005年も年初の台数予想を大きく上回る2ケタ(%)成長を達成しそうである。こういった市場の見方はどうしても欧米や日本など先進国中心になりがちであるが,既にPCで市場の36%,携帯電話機で市場の52%を占める新興国(統計でその他地域と示される部分)の状況を勘案しないと,全体を見誤ることになろう。
PCは,価格がいよいよデスクトップで300〜400米ドル,ノートPCで500〜600米ドルまで下落したことで,低所得者層にも普及が始まっている。中国でいえば,従来は沿岸地域と内陸部の大都市中心の普及であったのが,ここへ来て内陸部の中小都市などにも普及が始まっているという状況である。またノートPCも急速な価格の下落によりデスクトップPCとの相対価格差が減少したため,新興国でも先進国同様デスクトップからノートPCへの置き換えの需要も高まっているようである。そのためPCの伸びは2005年の前年比14%増に続いて,2006年も10%程度の伸びが期待できるだろう。
携帯電話機に関してはGSM規格で新興国への携帯電話機の普及を目指したプログラムが始まったことで,小売で40米ドル程度の単価の端末が急増している。台湾のODMメーカーをうまく利用した米Motorola, Inc.がこの分野では大きな成功を収めており,単価はさらに下落して,普及が進む可能性は高い。これらの状況を勘案すると携帯電話機に関しても2005年の前年比12%増に続いて,2006年も8%程度の伸びが続く可能性が高い。同時に相当なデフレ圧力も出ており,最終製品のメーカーの収益は厳しいが,汎用的な半導体にとっては数量効果が大きいと思われる。
(「セミコン・ジャパン2005 NAVIGATOR」から抜粋)SEMICON Japan 2004
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