ナビゲーションを飛ばして本文へ
サイトマップ記事検索

セミコン・ジャパン 2005 スペシャル・レポート

「セミコン・ジャパン2005」特別インタビュー

若い人材を引きつける産業に
MEMS,ナノテクを育てる

SEMIジャパン代表
熊谷 多賀史 氏

若い世代を引きつけたい

問●2005年7月にSEMIジャパンの代表に就任されましたが,抱負をお願いします。
答●大きく二つあります。一つは,半導体の装置・材料という上流から,応用製品という下流まで備えた日本のモノ作りの強さを伸ばしたいということです。そのことを世界の中でフェアに認知させる一端を担いたいと考えています。もう一つは,若い世代の人を,半導体やフラットパネル・ディスプレイ(FPD)の業界に引きつけたい。最近では,工学博士を取得した人が銀行など金融業へ就職してしまうなど,嘆かわしい事態が起こっています。半導体・FPDは魅力のある業界ということを,もっと若い人に訴えなければなりません。

問●具体的には何をするのですか。
答●例えば,後者の具体策として,高校生に向けた教育プログラムを2006年から実施する計画があります。これはすでに米国で実施されています。「セミ・ファウンデーション」という基金を利用した「ハイテク・ユニバーシティ」というプログラムです。例えば,米Intel Corp.といったLSIメーカーや米Applied Materials, Inc.といった装置メーカーの工場(研究室)を借り,トランジスタの動作原理などを学ぶというものです。それもパソコンを使った解説ではなく,6畳ぐらいの部屋の中でベース,コレクタ,エミッタなど各素子に相当する部分を作り,それを誰かが押すと導通するといった遊びの要素を取り入れて理解を深める試みです。これを日本でも実施し,半導体関連工程の支持者を増やしていきたいと考えています。

問●そういうニーズは実際にあるのでしょうか。
答●日本のSEMI会員の中で賛同する企業は出てきています。会員企業の技術者向けには,すでにチュートリアル・コースとしてSEMIジャパンでも実施していました。以前は関西地区で開催していましたが,最近,関東地区でも募集したところ,多くの応募があり,当初70人の4コースの予定でしたが80人の4コースに増やしたという経緯があります。次は,教育の対象を一般の高校生にも広げようということです。

個人用のディレクトリを作る

問●SEMIジャパンにとって最大のイベントが「セミコン・ジャパン」ですが,その方向性については,どのようにお考えですか。
答●「セミコン・ジャパン」については,ロードマップを作成しており,全体が5年の実行計画の中で2005年は2年目に当たります。特に重要な将来像として,展示会の情報をいかに効率的に伝えるかという議論があります。その一つの手段として,最先端の半導体を使ったIT(情報技術)の成果を取り入れていきたいと考えております。展示会場に300mmウエーハ対応の装置をすべて並べるには無理があります。例えば,カメラと通信回線を使って展示会に置いていない装置を仮想的に見せる「バーチャル・デモ」などがあります。そのほかに,ICタグを使えば,来場者の専門分野や興味の対象を事前に登録し,当日に広い展示会場の中ででどこを見たらよいかを示す「個人用のディレクトリ」を実現することも可能になります。

問●「セミコン・ジャパン」は実機の展示を重視していると聞きましたが。
答●基本的なコンセプトは「見て分かる」ということなので,出展企業には実機展示を推奨しています。欧米で開催されるSEMI主催のほかの展示会では,会場に企業名のたれ幕を出すだけでブースを出さない場合も見られますが,「セミコン・ジャパン」は,できるだけ実機展示をお願いし,それが無理でもブースは出してほしいと呼びかけています。展示会の方向性を決める諮問/運営委員会を出展する装置・材料メーカーで構成するという点も,他の地域の展示会にない「セミコン・ジャパン」の特徴といえます。

問●前回に出展しなかった海外の大手装置メーカーが今回は戻ってきているようですが。
答●「セミコン・ジャパン」に出展することが日本市場を重視していることの表れ,という動機付けが働いたのではないでしょうか。

3〜5年後の産業を育てる

問●今回,次のビジネスの種を育てる企画を強化したのは。
答●MEMS(micro electro mechanical systems)や今回初めて分野として独立させたナノテク関連分野などには,3〜5年先に花開き,SEMIの会員になってほしいという期待があります。出展しやすい条件を整え,参加企業を増やすことを重視しました。各企業に20分間で発表する枠も設けています。それぞれが将来に事業化し,正式な出展企業としての参加してもらうための呼び水にしたいと考えております。

問●テストやパッケージングなど後工程の展示スペースの集客数を増やすことが課題となっていますが。
答●物理的に客の流れを導く工夫をします。例えば,当日のメインの登録場所を後工程会場に設けたり,駅周辺ではまず,後工程会場に行くように案内を出したりします。これは結果的ですが,今回は前工程の一部のクリーン・ルーム関連の展示が,後工程会場に入ることになりました。これらをうまく利用し,前工程会場に行く来場者には,後工程会場を通ってから目的の場所に行くように仕向けたいと考えています。

問●最後に,今後の装置市場動向について伺います。
答●2005年7月にSEMIが出した予測では,2005年後半をしのげば,2006〜2008年は力強く成長していくとしています(図1)。一方で韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が,積極的な投資計画を打ち出しています。日本の半導体メーカーには,あまり時間をかけずにリソースを集中し,力強さを取り戻してほしいと願っています。

1972年日産自動車入社,1991年北米日産フォークリフト執行副社長,1994年アプライド マテリアルズ ジャパン入社,1998年同社CMP製品事業部長,2000年同社執行役員,2005年SEMIジャパン代表に就任,現在に至る。



(「セミコン・ジャパン2005 NAVIGATOR」から抜粋)