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BREW 2005 SPECIAL FEATURE-sponsered by QUALCOMM

BREWはPCの失敗から学び,健全な進化を目指す
QIS部門SVP,Sprigg氏インタビュー (提供:クアルコム)

BREW 2005 Conferenceも終わりに近づいたころ,Steve Sprigg氏に話しを聞く機会を得た。同氏はBREWの生みの親の1人で、米QUALCOMM社Internet Services部門Senior Vice President, Engineeringだ。このインタビュー前日にはBREWの未来について講演している。まずBREW誕生について話しを聞いた。

問:あなたはBREWの生みの親の一人ということですが,BREWはそもそもどのようにして誕生したのでしょう。

Sprigg氏:講演でも取り上げた「Virtuous Cycle(よい循環)」の図,まさにあれが始まりでした。あれは1999年のある金曜日の昼下がりのことでした。Paul Jacobsが,あの「よい循環」の図をホワイトボードに描いたのです。

当時,QUALCOMM社は電話機のメーカーでもあり,日本を含むアジアの携帯電話の先進性に圧倒されていました。米国の携帯電話は音声サービスが中心で,ようやくデータのサービスに参入しようとしているところでしたが,携帯電話事業者からの要求は次々と高まってきて,それにおいついていくのはなかなか大変なことでした。そこでまず自社端末用のアプリケーション・プラットフォームを開発することから始めました。これはパソコンのOSのようなもので,パソコン用アプリケーションを開発するような要領で,簡単に携帯電話用のアプリケーションが開発できるものでした。

しかし,その後,BREWは第2のフェーズを見いだします。それが,例の「Virtuous Cycle(よい循環)」です。我々がよりよい技術をつくることで,それがよりよい端末を生み出し,それが事業者を刺激してよりよいサービスが生み出され,そこからよりよいアプリケーションが生まれる,という循環です。

1999年末から2000年にかけてBREWを開発していく中で,他の端末メーカーも同じような問題を抱えていることに気づき,BREWを信頼できる共通のプラットフォームとする方針を固めました。

問:そのBREWも誕生から5年以上が経って大きく進化したわけですが,今回のConferenceを見て,今のBREWはまるでパソコンのようになってきたと感じました。PDFやMicrosoft Officeの書類も閲覧できれば,パソコン用のWebサイトも閲覧できます。おまけに3Dのゲームまで楽しめます。

Sprigg氏:BREWは,そもそもの出発時点から,パソコンのようにソフトを簡単に開発しインストールできる環境を目指していたので,両者が似てきたのは偶然の一致ではないでしょう。

ある意味,今日のBREWは10年前のパソコンよりも,はるかに進んでいると言えます。また,BREWにとって有利なのは,パソコンが犯した過ちを参考にしながら,新しい未来を築いていけることです。

例えば,パソコンをほとんど使い物にならないくらい不便にしている信頼性の問題などもその1つでしょう。我々はパソコンの失敗を参考にして,アプリケーションの信頼性やユーザー・インタフェースといった機能を設計できたのです。

問:これから携帯電話でも,ますます重要になってくる信頼性の問題をBREWはどのように解決しているのでしょう。

Sprigg氏:我々が重視している原則の1つに「アプリケーションは信頼できるソースから受け取らなければならない」というのがあります。というのも,電話は信頼性が重要なデバイスであり,その電話でユーザーが利用するアプリケーションもまた,信頼できるアプリケーションでなければならないからです。

我々が,この信頼性を実現するのに活用しているのが電子署名です。すべてのアプリケーションは,開発者や事業者などによる電子署名が施されていないと実行できません。署名後に改変された可能性があるアプリケーションは,ウィルスなどに冒されている危険があると判断し,BREW環境上では実行できないようになっています。

BREWはこの電子署名の確認を2度行ないます。最初はアプリケーションのダウンロードのタイミングで確認を行ないます。続いて,ダウンロードしたアプリケーションを実行する時にもう一度確認を行ないます。これはダウンロード後に,そのアプリケーションが,他のアプリケーションに改変される危険を避けるためのものです。

携帯電話の信頼性は今後,もっと重要になっていくはずなのに,なぜか他社のcertificationはもっとシンプルなものになっているのは,不思議なところです。

問:3次元グラフィックスの機能は,ゲームなどエンタテインメント分野での利用だけを想定したものなのでしょうか?

Sprigg氏:現状ではゲームでの利用を前提に開発していますが,もちろん,これはユーザー・インタフェースなどにも応用が可能です。将来,uiOneでも3次元の表現などが可能になってくるかもしれません。

われわれはこの3次元の表現を,BREWプラットフォームのアドバンテージとするべく,チップ・レベルでもサポート強化を行なっていくつもりです。こうすることによってどんなことが可能になるのかは我々自身楽しみでなりません。

問:一方,2次元の表現の拡張と言う点ではMacromedia社との提携も気になります。これはuiOneなどの技術とどのように絡んでくるのでしょう。

Sprigg氏:現時点では,具体的に発表できる動きはあまりありません。プレスリリースで述べられていることが,述べれることすべてです。ただし,この提携が,より多くの開発者に機会を与えたいというBREWの理念にかなったものだということは言っていいでしょう。

日本ではFlashが携帯電話のユーザー・インタフェースとして広まっていますが,BREWのユーザー・インタフェースが全てFlashベースになるというわけではありません。

我々はMacromediaとFlashで提携する一方で,uiOne上でSVG (Scalable Vector Graphics) のサポートも発表しており,uiOneとSVGの組み合わせでもFlashに近い表現ができると思っています。

問:BREW 4.0の具体的詳細は,まだあかせないとして,目指していく方向性などについて伺えますか?

Sprigg氏:まずVirtuous Cycleへの影響という観点からで見ると,コンテンツ・デベロッパやゲーム開発者,企業向けの機能といった改良が中心となります。一方,技術や実践的面から見ると,端末やソリューションの実現時間の短縮にこれまで以上に重きを置いています。

これにはBREW自体への構造的な変化も含みます。これによって,アプリケーションの承認プロセスなども短縮できるようになると思います。

続いて,アプリケーション開発者の視点から見ると,上で示した方向性をサポートする機能がいくつか追加されています。例えば,ゲーム関係では,ゲームをしながら音声での会話をするための音声レイヤ・リング機能やデータのやりとりをする機能,マルチプレイヤー機能,トランシーバのようなボタンを押して話すタイプのコミュニケーションといった機能も追加されています。

企業向けには同期機能の改良や企業のデーターベース情報へのアクセスといった機能を,そしてコンテンツ開発者向けには,既存の着信音やデータファイルなどの取り扱いについて従来からあった機能が拡張されています。

ここでもう1つ注目してほしいのがuiOneにしても,データベース・アクセスにしても,スクリプティングの機能にしても,拡張性を重視していることです。我々が用意した機能をそのまま使うのではなく,開発者やオペレーターの側で拡張してもらうことで,よりその会社のニーズにあった機能として活用していくことができます。

問:それもBREWの基本理念,「Virtuous Cycle(よい循環)」なのですね。

Sprigg氏:「よい循環」とは,オペレーターには次から次へとさらによいサービスを繰り出してもらい,電話機メーカーには次から次へとよい端末を出してもらい,開発者には次から次へとよいアプリケーションを出していってもらうことを目指した生態系です。

この生態系の勢いを持続するために,QUALCOMM社は,現時点で事業者や端末メーカー,開発者がどういった問題を持っているのか,何をやりたがっているのかを把握し,それに最適なソリューションを提供していきます。今回のBREW 2005 Conferenceでは,uiOneが中心の話題となりましたが,これも現在のオペレーターや利用者のニーズを考慮して発表したものです。

今度はこれを基盤にして,また新しいサービス,新しい端末,新しいアプリケーションがでてくることを期待しています。

(聞き手は林信行:特約ライター=サンディエゴ発)

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