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FPGA開発環境に変革をもたらす「ターゲット デザイン プラットフォーム」
ザイリンクスがアヴネットと協業して提供
FGPAの市場が急成長しASIC/ASSPの領域へと拡大していくなか,FPGAメーカーは単にシリコンを提供するだけでなく,どのような開発環境を提供できるかも重要になってきた。ザイリンクスがアヴネットと協業して提供する「ターゲット デザイン プラットフォーム (TDP)」を使えば,顧客の機器メーカーは製品の差異化に専念することができる。ザイリンクス 株式会社代表取締役社長のサム ローガン氏はこのように強調する。2010年1月に開催される「X-fest 2010」ではTDPをはじめとした同社のFPGA技術の真髄が紹介されることから,機器メーカーの設計者には見逃せないイベントだ。

サム ローガン氏
ザイリンクス株式会社
代表取締役社長
——景気が低迷しているなかFPGAは成長を続けています。
ローガン氏:最初に市場をマクロにとらえた話をしましょう。一般消費が低迷しているなか,お客様である機器メーカーは機能アップ,性能アップをすると同時に,コスト削減に迫られています。
一方,半導体プロセスは65nm,45nm,40nmと微細化が進んでおり,半導体メーカーのASIC/ASSPに対する開発コストは上昇を続けています。180nmの時代は1品種で10億円程度だった開発コストが,45nmでは約60億円と約6倍になるといわれ,32nmになると100億円くらいに上昇してしまうと予想されています。半導体メーカーのビジネス・モデルとしては,売上高に占める研究開発費の比率は20%くらい必要です。そうすると45nmで60億円の費用がかかるときに300億円くらいの売上高がないと開発費をペイできないことになります。次の32nmになると500億円規模が必要になります。このように微細化が進むほどASIC/ASSPではその市場規模が大きくならないと半導体チップ1個当たりのコスト負担が大きくなってくるのです。
FPGAも開発費はかかりますが,汎用品ですから償却できるアプリケーション数が多く,生産量に比べ安くできるのです。われわれの米国本社の社長兼CEOであるMoshe Gavrielovはこれを「プログラマブル・インペラティブ(Programmable Imperative)」と呼んでいます。要するにマーケットとしてはプログラムできるロジックを使わないと,数量面でビジネス・モデルとして合わなくなっています。それがASICからFPGAに切り替わっていく流れとなっています。
——FPGAでカバーする範囲が変わってきているということですか。
ローガン氏:昔の基板を考えるとASSPやASICが中心で,FPGAは横の方のどちらかといえば周辺のインタフェースで使っていました。FPGAは,それほど数量が出ない,ハイエンドやニッチの市場向けが主体でした。しかし,最初に説明したようにASICでカバーできる範囲がどんどん狭くなってきて,逆にFPGAのカバー範囲が広がってきています(図1)。お客様が選択肢として,ASICがカバーできなくて困っているところへ,新しいソリューションとしてFPGAを提供するわけです。従って,いままでFPGAに慣れていないお客様にどのようなソリューションを提供するかが重要になっています。
——新しい時代のFPGA開発環境として「ターゲット デザイン プラットフォーム (TDP)」の提供を開始しました。
ローガン氏:TDPとは,FPGAを利用する機器メーカーに向けてより短期間で,しかも低コストで機器を開発できる環境を提供するものです(図2)。「基本プラットフォーム」「ドメイン特化プラットフォーム」「市場特化プラットフォーム」と上位の階層にいくほど専用化しています。
FPGAが,従来のグルーロジックの位置付けであれば,シリコンがあって,評価基板があって,そこに少しの機能を入れるという形で済んでいました。しかし,今や基板上の中核に位置するようになってきています。TDPである程度の雛形のアプリケーションをプラットフォームとして提供し,お客様は競合他社との差異化の部分に設計リソースを集中していただく。これがTDPのコンセプトです。
——TDPではアヴネットとパートナー関係にありますが,どのような形の協業でしょうか
ローガン氏:よくお客様とサプライヤーはパートナーだといいますが,ディストリビュータとの関係も同様です。特にアヴネットは,販売代理店として活動しているだけでなく,開発パートナーとして一緒になってTDPの基本プラットフォームを開発しています(図-3)。
われわれが基本的にフォーカスしている市場は,有線通信,無線通信,放送局,医療機器,テスト,FA(ファクトリ・オートメーション),車載,ディスプレイ,ハンドヘルド,MFP(多機能プリンタ)の10分野です。ザイリンクスとアヴネットでお互いにターゲットとする市場をすみ分けしています。基本的には,われわれがベース機能となる基板を提供し,アヴネットはアプリケーションに特化した製品を出しています。
さらに,ドメイン特化プラットフォームでは,アプリケーション別の「FPGA メザニン カード(FMC)」を用意しています。ドータカードのような位置付けで,FPGAを搭載したメイン基板に接続して利用できるアプリケーションに特化したものを提供します。このFMCについてもアヴネットにはサポートしてもらっています。
——TDPと同時にFPGAの新製品として「Virtex®-6」と「Spartan®-6」を発表しました。これら新製品の日本市場で果たす役割は。
ローガン氏:Virtex-6は40nm世代,Spartan-6は45nm世代と最先端のプロセスを採用しました。ともに前世代品に比べて消費電力を低減しながら性能を大きく向上させています。図1に示したように,Virtex-6は高性能かつ高集積な製品に最適です。一方,Spartan-6は民生機器など大量生産品に最適で,従来のASIC/ASSPでもFPGAでも十分対応できていなかった領域をカバーします。
——日本の機器メーカーがやや元気がありませんが,FPGAを使って強みを発揮できるようになりますか。
ローガン氏:テレビがいい例ですが,日本メーカーはたくさんの種類をつくり,そのなかでヒットする製品を見つけて,それに集中して生産するという形で進んできました。しかし,今やASICでは開発コストが高いので,限られた種類しかつくれず,その中でヒット商品を見つけようとしています。そうするとテレビがどんどん汎用的になってしまい,ヒット商品をなかなか生み出せません。FPGAを使えば,例えば7種類のFPGAボードを開発すれば,アプリケーションとしては30機種を実現できる。これは民生機器としては大きなメリットとなるでしょう。

高画質化を追求する上でもFPGAはますます重要になります。民生機器は店頭に商品が並べられて比較されるのが一般的です。そのとき例えばノイズの管理などの差があると目立ってしまう。ASICで修正しようとすると,新しいASICに数億円投資して,数ヵ月後か,1年間かけて開発することになってしまいます。FPGAなら,新しい演算アルゴリズを入れることによって,短期間で対応可能です。
また,FPGAはASSPやASICなどと違って製品の寿命が長いのも利点になります。日本のエレクトロニクス・メーカーが注力している医療機器は,フィールドトライアルや国の認定などが必要であるため開発から量産に入るまでに数年かかり,量産後も10年以上サポートする必要があります。このような長い期間をサポートできるASIC/ASSPメーカーはほとんどありません。FPGAで長年の実績があるわれわれのような会社でないと医療機器は対応できないでしょう。
——ザイリンクスにとって「X-fest」の位置付けはどのようになるのでしょうか
ローガン氏:これまで説明してきたように,アヴネットには代理店として,さらには基板の開発パートナーとして役割を果たしてもらっています。そして三つ目の重要な役割がわれわれのメッセージをお客様に届けることです。その意味でX-festはわれわれにとって非常に大切なイベントです。このイベントで設計者の皆様にわれわれの製品をよく理解していただきたいと思っています。興味を持っていただいたお客様には,アヴネットと個別にサポートしていきます。
X-festではさまざまな見どころがありますが,お客様にはFPGA特有の設計ノウハウを学んでいただければと思っています。ロジック演算はすべてそうですが,基本的にはメモリーから情報をとってきて計算し,またメモリーに戻す処理をします。その流れのなかで,FPGAには色々な設計ノウハウがあります。コストやシステムのバランスを考慮してどのような特色を持たせるか,そのポイントを学べると思います。
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