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3次元データ活用〜 従来の業務プロセスに革新をもたらす 〜

製品開発のスピードアップ、効率化のため3次元データの活用が拡がる TOPページへ

 ものづくりにおける「3次元データ活用」の事例として,富士ゼロックス,新潟原動機,ダイキン工業,原田車両設計の4社による講演が行われ、各担当者から自社での取り組みについての紹介が披露された。

開発期間の40%短縮に成功

相模 靜夫 氏
相模 靜夫 氏
富士ゼロックス
商品開発本部
プロセスイノベーション部
グループ長

 コピー機などのオフィス機器を手掛ける富士ゼロックスの商品開発本部プロセスイノベーション部でグループ長を務める相模静夫氏は,3次元データ連携による同社の開発業務改善の事例を紹介した。同社では2004年から開発業務の生産性向上プロジェクト「FXDWW」(Fuji Xerox Digital Work Way)に取り組んでいる。「このプロジェクトで特に力を入れているのが,開発プロセスのフロントローディングです。ものづくりの前に品質の作り込みと検証を行い,試作後の手戻りを防ぐことを狙っています」(相模氏)。

 FXDWWは主に「デジタル設計」「デジタル生産準備」「デジタル評価」の3つの活動から成る。デジタル設計では設計支援ツールを活用。ベテラン設計者の経験を手順書として明文化し,グループで共有可能にするとともに,設計の目標に応じて設計プロセスを工程ごとに細分化し,各工程で手順書の情報をチェックできるようにリンク付けする。「開発の手戻り原因の63%は,ベテラン技術者ならば防ぐことができたものです。ベテランのノウハウを形式知化すれば,不要な手戻りは防げるはずだと考えました」(相模氏)。

 デジタル設計準備では,ツールを利用した解析やシミュレーションによって設計段階で問題点を洗い出し,事前に対策を施すための活動である。コピー機のトナーや用紙の搬送機構については,機構系シミュレーション・ツールを用いて問題点を検討。ファンの騒音については,熱流体解析ツールを用いて検討し,あらかじめ対策を施す。さらに,ここでは設計データを基にした3次元グラフィックスを利用して,部品の機能や操作性,組み立て性なども検討する作業も含まれている。「かつては,実機を製作してからでなければ分からなかった問題点を,実機がなくても洗い出せる環境が整ってきました」(相模氏)。3次元データは金型製作にも活用している。金型の要件をチェックするツールと組み合わせて,射出成型の際に成型不良が発生しないように,事前に厚肉やリブなど細かい形状を,シミュレーションによってチェックしている。こうしたプロセスを導入したことによって,金型の製作に要する期間はFXDWW導入前の約3カ月から約1カ月に短縮した。

 これらの取り組みは,大きな効果をもたらした。「設計変更率は60%改善。開発期間は40%短縮し,研究開発の費用効率も30%改善しました」(相模氏)。この結果,従来以上に,タイムリーな商品開発が可能になり,新商品の導入数は40%増加したという。「現在のFXDWWは部分最適にとどまっているが,今後は開発業務全体を最適化するシステムに発展させる考えです」(相模氏)。

現場が使いたくなる環境を用意すべき

福岡 和彦 氏
福岡 和彦 氏
新潟原動機
技術センター・プラントエンジニアリンググループ
詳細設計チーム シニアアシスタントマネージャー

 新潟原動機の技術センター・プラントエンジニアリンググループ詳細設計チームシニアアシスタントマネージャーの福岡和彦氏は,3次元データを活用する環境を社内に定着させるための取り組みについて語った。「3次元データは業務プロセスを変革させるための“庶民の道具”」という同氏は,社内各部門の現状に合わせて,それぞれ効果的な3次元データの活用法があると語った。

 例えば,製品開発部門ではデザイン・レビューに3次元データを活用した。既発した設備の3次元グラフィックス画像を,テレビ会議システムを使って遠隔地の事業所と共有。そのうえで音声会議ツールと利用して関係者が議論しながら設計をレビューしている。レビューでは人体を模したマネキンモデルなど各種のコンテンツと組み合わせて,業務に支障がないかもチェックしている。「ここでは軽量化した3次元データを使っています。そうすればテレビ会議システムでも十分に扱えます」(福岡氏)。

 同氏は,3次元計測で取り込んだ建築中の設備の3次元画像と,軽量化したデータを使った設計対象の3次元画像を組み合わせて,既存の設備と設計した設備との干渉もチェックしていることも明らかにした。こうした作業を実施することで,現物が完成した後に発生しうる問題を未然に防いでいる。「データを軽量化すればレンダリング処理にかかる時間は15分程度。設計データをリアルな画像にして見せることは,特に海外のお客様から高く評価していただいています」(福岡氏)。

 3次元データ活用を進めるうえで重要なのは,「現場が楽しく活用できること」と福岡氏は指摘する。「例えば,マネキンで作業員の動きをチェックする場合,マネキンの姿勢を毎回作り込まなくてはなりません。このため特定の人しか使えないのが現状です。考えられるマネキンの姿勢をライブラリ化し,それを呼び出すだけ使えるようにすれば,誰でも使えるようになるでしょう」(福岡氏)。こうすれば現場の3次元データ活用とそれによる業務効率化が自然に進むという。「トップダウンで現場に使わせる発想では3次元データ活用は進まないのではないでしょうか。現場の人が使いたくなるような環境を用意することが重要です」(福岡氏)。

ラインの欠陥を定量的に分析

駒田 邦久 氏
駒田 邦久 氏
ダイキン工業
空調生産本部 生産技術部

 ダイキン工業空調生産本部生産技術部の駒田邦久氏は,3次元シミュレーションで生産ラインの最適化を実現した事例を紹介した。同社は1990年代半ば,家庭用の空調機事業を立て直すために家電量販店での販売を始めることにした。「これに先駆けて,品切れで店頭から商品が姿を消すような事態を防ぐために,急いで生産ラインを改善する必要がありました」(駒田氏)という。そこで取り組んだのが,3次元のライン・シミュレーションによる生産ラインの最適化だ。

 このライン・シミュレーションで目指したのは,大きく五つの「見える化」。つまり,「失敗の見える化」「定量評価のための見える化」「生産技術者に対する見える化」「経営者に対する見える化」「ライン作業者に対する見える化」である。「仮想空間ならば,思いついたアイデアをすべて試すことができます」(駒田氏)。このため,ラインを構築する前に設計のPDCAを何度も回すことが可能だ。しかも3次元データを利用したリアルなグラフィクス表示は,拠点間のコミュニケーション強化にも貢献している。「特に海外の生産拠点では言葉の問題もあり,ラインの作り方やモノの流れ方を正確に伝えられないことがありました。3次元グラフィックスを使って見せれば,伝えたい情報を確実に分かってもらえます」(駒田氏)。

 駒田氏は実際に3次元のシミュレーションでラインを構築した事例をいくつか紹介。運転検査工程では,問題の原因となるポイントをいくつか予測し,それぞれのパラメータをシミュレータ上で変化させ,あらかじめ問題点を浮き彫りにした。そのうえでその部分に必要な対策を集中的に施すことで,人員はそのままで工程能力は30%も向上したという。「工程のボトルネックを,過去の経験ではなく定量的な議論で発見できるようにした意義は大きいと思います」(駒田氏)。

 またタイ工場で新生産ラインを立ち上げた時には,構想段階でシミュレーションを活用し,ワークの搬送を検査員が行うことが可能なことを実証した。そのうえで,実際の工場では搬送機を設置するのをやめ,必要最小限の投資でラインを構築した。

 このほか工程能力の確認にもシミュレーションを利用している。商品のモデルチェンジを実施したときに,新商品と旧商品で一部工程を共有することが多い。こうした際に同社は,新製品を量産ラインに投入したときに,共有する工程の能力などで問題がないかを事前にシミュレーションしている。これによって適正なバッファをあらかじめ確保することで,工程の共有化を図っているという。

3次元活用でものづくりをもっと楽しく

原田 久光 氏
原田 久光 氏
原田車両設計
代表取締役社長

 原田車両設計の原田久光代表取締役社長は,3次元データを活用した新規事業について説明した。自動車分野の事業が大半だった同社は,3次元の設計技術をベースに他分野にも事業を広げている。その一つがボクセルモデラー「FreeForm」を使ったテクスチャーのデジタル加工だ。同氏は,皮シボのような製品表面を,すべて3次元CADでデータ化するのは無理があるという。そこで,ペン型のデバイスで触感を受けながら画面上のモデル表面に凹凸などを施すFreeFormを導入。シボやエンボス加工をフルデジタルで行うことを可能にした。「デザイナーが実際の製品に合わせたシボ・パターンを作ることができるため,複数のパーツを貼り合わせたときに,パターンの連続性を維持することで外観を一段と美しくすることも可能になります」(原田氏)。

 その他にもCGを基に粉体造形で実物を作る例や,スキャナーで絵画を読み取り,それをFreeFormで凹凸をつけることで絵画を立体的にした例,光造形で3次元CADデータからモデルの型を作り,それを反転させて射出成形用の型を作った同社のパートナー会社の例なども紹介した。 同社は,モールド・ベースなしでCADデータから金型を作る「RRDモールド」による高速成形の実現にも取り組んでいるという。「ものづくりはもっと楽しくあるべきです。そのために3次元データは,役立っています。3次元データを使い最終製品作りまで社内で進めるようになって,社内のモチベーションは高まりました。3次元データの活用というと,短納期やコストダウンばかりに目が向きがちですが,3次元データによる“楽しいものづくり”を積極的に進めていきたいと思っています」(原田氏)。

※ 会社名,製品名は,各社の商標もしくは登録商標です。

ものづくりの様々な現場で3D活用を望むこんな声にSpaceClaimは応えます。 2010年、世界的な調査会社Gartner, Inc. より ”Cool Vendor” と称された SpaceClaimの最新のダイレクトモデリング手法をご覧になってください。

動画はこちらから

そして、「これは使えそうだ!」と感じたら、SpaceClaim体験版をお試しください。
新しい3Dデータ活用のアイデアが生まれるかもしれません。 

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