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3次元データ活用〜 従来の業務プロセスに革新をもたらす 〜

3次元データの共通形式「JTフォーマット」ツール間連携を強化して開発基盤を効率化 TOPページへ

日原 進介氏
シーメンスPLMソフトウェア
ビジネスコンサルティング部 マネージャ

シーメンスPLMソフトウェアは,「3次元を用いた完全見える化とそれを可能にする3D共通言語フォーマット」というテーマで同社が開発し,普及に力を入れている3次元データ形式「JTフォーマット」の概要と特長を説明した。3次元CAD環境に依存することなく設計意図を3Dビューワ上に再現できるJTフォーマットは,データの変換精度についても問題ないことを示した。

 JTフォーマットは,3次元データの活用を促す基盤となる共通データ形式である。講師を務めたシーメンスPLMソフトウェア ビジネスコンサルティング部 マネージャの日原進介氏は,講演の冒頭でこうしたデータ形式が必要とされる背景について説明した。すでに3次元ツールは,多くの企業に導入されており,ものづくりの一端を支えている。ところが,ぞれぞれのツールは,CAD,CAM,デジタル・マニュファクチャリングなど分野ごとに部分最適化されているのが現状である。このような設計フローでいったん問題が発生すると,それぞれのツール,データベース,使用環境などを見ながら,情報を探して解決しなければならない。実際に同社の調査でも,こういったツール間連携の部分にトラブルシュートの時間のほとんどが要されてい るという。

 ツール間でのデータ授受には様々なツールや作法が提供されているものの,直接的コストあるいは間接的コストが発生する場合が多い。しかも,単なるデータの変換だけでは上流工程で盛り込まれた設計意図が下流側にわたらない。このような課題に対してシーメンスPLMソフトウェアが開発したのが,JTフォーマットである。すでに市場で10年以上の実績を持つ。

CADに依存せずにビューワ前提

図1●JTフォーマットが狙う3Dビューワを中心とした3Dデータ活用
図1●JTフォーマットが狙う3Dビューワを中心とした3Dデータ活用

 JTフォーマットを端的に表現すると「ビューワのためのデータ形式」ということになるだろう。3次元CADからデータを切り離しつつ,見え方や精度を継承しようという狙いである(図1)。これまでは設計 工程と同じビューを得るには同一の3次元CAD環境が必要だった。JTフォーマットに変換することで,ツール環境に依存しないビューが得られる。ただしモデルの編集には対応していない。

JTフォーマットは,「HD(High Definition)-PLM」という仮想的なワークスペースを通じて,開発現場や製造現場に散在するさまざまな3次元データを「見える化」することを目的の一つにしている。設計意図を含むデータを受け渡すことで,誰もがどこからでも同じビューを得られ,他部署や取引先と設計意図が共有できる。また,社内の組織再編や企業合併などで3次元環境が大きく変わった場合でも,JTフォーマットがあれば,状況に応じて柔軟に対応できるという利点もある。

 データフォーマットは高速表示を前提として定義されている。3次元CADデータが持つモデル履歴,拘束条件,3次元注記,属性情報,BREP(境界表現),表示用ファセットのうち,モデル履歴や拘束などを除くすべてのデータをJTフォーマットに変換できる。圧縮を併用することで,オリジナルのCADデータに対して10%から30%程度のサイズにまで,データ量を減らせる。また,JTフォーマット・データから超軽量のファセットのみを抽出すれば,元のデータ容量の1%程度にまで圧縮することも可能だ。このときも表示精度は維持される。

 表示用ファセット・データは「Level of Details」(詳細レベル)という考え方によっ て,表示用のポリゴンを数種類に展開して 格納する。JTフォーマット・データを開い たときに,プログレッシブJPEGの展開の ように,粗い表示から細かい表示へと段階 的に見せていくためだ。データのストリー ミング供給に適するという。

 BREPのジオメトリ・データ精度は,一般のCADのデータ精度と同等を誇る。「ビューワ用3次元データでここまで精度を維持しているものはほとんどないでしょう。高精度を保つために当社が開発し たParasolidというテクノロジをビューワフォーマットに取り入れました」(日原氏)。

オープン化と合わせて変換精度を保証

 JTフォーマットのグローバルな普及を促すために,同社は「JT Open」(http://www.siemens.com/plm/jp-jtopen)という業界団体を組織し,標準化などの作業はJTOpenに委ねている。自動車メーカーなど3次元データのユーザー企業のほか,3次元ツールやデータ・トランスレータを開発しているベンダーが参画中だ。また,JTフォーマットの仕様書はすべて公開しており,ISO(国際標準化機構)から2009年10月に,3次元表示用データ形式としてPAS(Publicly Available Specifications)承認を取得済みである。

 オープン化で課題となるセキュリティについては,データをカプセル化する,あるいは非オープンの拡張属性を追加して権限を設定する,著作権情報を埋め込む,といった検討がJT Openにて行われているという。なおJTフォーマットは,ファセット情報のみで構成することも可能なため,運用上,他の情報を削ることである程度のセキュリティを確保しやすい点も挙げた。

 JTフォーマットは3次元データから変換 を伴うため,精度の劣化が懸念される。こ の点に関しては「変換精度を保証するよう に取り組んでいる」(日原氏)と述べるとと もに,実際の利用ではほとんど問題がない ことを強調した。形状データは前述のよ うに同社のParasolidテクノロジを使用し ているため,Parasolidを利用している既 存のデータ変換ツールと同じレベルの精 度が得られるという。この一例として講 演の中で,ダッソーシステムズ社の3次元CAD「CATIA」で作成した3次元データをJTフォーマットに変換した例を見せた。まずオブジェクトの見え方,寸法や公差,アノテーション形状や位置,数値,テキスト情報,フォントなどがそのままの形でビューワ上に再現される様子を示した。CATIAからJTに変換し,再度CATIAに変換した検証例では,1000分の1から1000分の3のトレランスで収まった。

他部門間との協調作業を効率化

 続いて,JTフォーマットの活用例を紹介した。ひとつはPTC社の3次元CADソフト「Pro/ENGINEER」で作成した3D設計データをJTフォーマットに変換し,CAE工程で使用するという事例である。設計工程と解析工程とが分かれている場合,JTフォーマットを用いることで解析のCAE作業のみを円滑に進められるようになり,CADデータへの反映サイクルを減らすことができたという。

図2●無償で提供されるJTフォーマットのビューワ「JT2Go」
図2●無償で提供されるJTフォーマットのビューワ「JT2Go」(図のクリックで拡大します)
http://www.siemens.com/plm/jp-jtopen

 また,先に述べた「HD-PLM」という考え方を使った活用事例として,ひとつのJTデータを多部門で共通的に利用する例を紹介した。単一のワークスペースのなかで,今月変更された部品,あるいは先月変更された部品などを順次絞り込むことで,全体のビジュアルイメージを透過的に表示させながら,絞り込み条件に合致した部品のイメージのみがハイライトされていく様子を示した。なお,このような機能はNX 7からその一部が実装される予定である。同社ではJTフォーマットを広く利用してもらうために,JTフォーマット専用のビューワ「JT2Go」を無償で提供中である(http://www.ugs.jp/siemensplm-jt2go/)(図2)。寸法測定,アノテーション等の表示,CADで定義されたビューの再現(設計意図の継承),断面作成といった基本的な機能を備える。

 現在ISOでは,ドキュメンテーションの標準フォーマットとしてPDF,データ交換の標準フォーマットとしてSTEP,そしてビジュアライゼーションの標準フォーマットとしてJTを位置づけているという。「またドイツ自動車工業会(VDA)などでは,JTフォーマットをデータ交換目的で利用できるとする解釈もあり,データ交換の実証実験が開始されています。このように欧米のメーカーはJTフォーマットをさまざまに活用しようとしており,日本でももっと活用して欲しいと思っています」(日原氏)

※ 会社名,製品名は,各社の商標もしくは登録商標です。

シーメンスPLMソフトウェア
〒151-8583 東京都渋谷区代々木2-2-1 小田急サザンタワー
TEL.03-5354-6700 FAX.03-5354-6780
E-Mail. jp_marcom.plm@siemens.com
URL: http://www.siemens.com/plm

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