長引く厳しい経済環境に改善の兆しが見えてきた。しかし回復の道のりは遠い。米Digi-Key Corp.は,最新商品を含む数十万点の電子部品在庫のほとんどを即日出荷できる世界屈指のディストリビュータだ。設計技術者からの評価も高く,長引く世界的な景気低迷のなかでも,売り上げは回復基調だという。その好業績の秘密はどこにあるのか,同社PresidentのMark Larson氏に,同社のビジネス戦略と2010年の市場展望を聞いた。

米Digi-Key Corp.
President
Mark Larson氏
——2009年のDigi-Key社の業績はいかがでしたか。
Larson 日本市場における2009年度の当社の販売は,これまでのところ素晴らしいものがあります。販売伸張率も高く,今年は新記録を達成できると確信しています。1月〜9月の販売は前年同期比で107%です。9月の販売は前年同月比で45%も伸びています。さらに日本市場でのお客様の数が,急速に増え続けていることも大変喜ばしいことです。
しかしながら,全世界レベルで見た当社の販売には,厳しい経済環境の影響が重くのしかかっています。2009年1月〜9月の販売は前年同期比84%まで下がりました。ただ,ここ3〜4カ月をみると経済環境にもずいぶん改善が見られます。実際,9月の全世界の販売高は前年同月比で上回っています。2008年9月の販売はとても良かったので,これを上回ると言うことは,とてもいい兆候です。経済環境の緩和はまだ見られませんが,2009年10月には,全世界レベルの販売でも新記録達成の自信があります。
高度な在庫管理で
部品不足に備える
——2010年の市況をどのように見ていますか。2010年のDigi-Key社の業績の予想はどうなっていますか。
Larson 市況は2010年も引き続いて回復すると考えていますが,その道は平坦ではないでしょう。電子部品メーカーは市場が徐々に成長するのを目の当たりにしつつも,慎重に対応すると思います。生産能力の緩やかな増強による回復はあるでしょうが,時として,それが需要に追いつかず,かなりの部品不足が起きるのではないかと私は見ています。こうした部品不足は,常に予想可能とは限らず,そのために2010年はメーカーにとっても,ディストリビュータにとっても,さらにお客様にとっても大変難しい年になるでしょう。
Digi-Key社では,常に高度な在庫レベルを維持し続けています。2010年は予測しがたい部品不足の年になるため,より多くのお客様が,Digi-Key社を頼ってこられると思っています。そのDigi-Key社も,物不足に直面することでしょうが,多くのディストリビュータに比べると,その度合いは小さいと思います。現時点で私は,2010年のDigi-Key社の販売は全世界レベルで見て,少なくとも前年比10%伸びると見ています。
作業効率を向上させるツールバーを Webサイトで無料提供
——現在は,ネットによる取引が中心かと思われますが,Webサイトには,どんな工夫がなされていますか。
Larson Digi-Key社のビジネスの約75%は,インターネットを介して行われています。日本では,恐らくそれが95%近くを占めています。常にお客様とDigi-Key社のWebサイトとの結びつきを強化することに注力しており,日本市場では,Webサイト上でさらに新しい機能を提供する予定です。日本向けサイトに登録されているお客様の便宜を考えて作られた「BOMマネジャー〔使用部品表の効率的な運用〕」などはその一例です。
さらにDigi-Key社では,世界中の数千人にのぼる設計技術者の皆様にDigi-Key社のWebサイトにあるツールバーを各自のパソコンにダウンロードしていただき,作業効率の向上に貢献しています。日本の設計技術者の皆様は,このアプリケーションを積極的にダウンロードされ,ダウンロード数では米国についで世界で2番目となっています。
——現在,いくつの国/地域に向けてサービスを展開していますか。最近,伸びの大きい国/地域はどこですか。
Larson Digi-Key社のWebサイトとして3番目に展開された市場が日本です。最初のWebサイトは,米国で1997年に運用が始まり,その次にカナダ向けサイトが続きました。それ以降,Digi-Key社のWebサイトが運用されるようになった国は,中国,台湾,韓国,香港,シンガポール,ニュージーランド,ドイツ,オーストリア,フランス,イタリア,スペイン,ポルトガル,ベルギー,ルクセンブルグ,オランダ,ギリシャ,デンマーク,フィンランド,ノルウェー,スウェーデン,アイルランド,英国——と続きます。
今年の経済状況下でも,アジア,日本の販売成長は傑出しています。中国での販売は,2009年1月〜9月で,前年同期比21%伸びました。9月の中国の販売を見ると,前年同月比2.16倍にもなります。台湾,インドでも急速な成長が見られます。欧州では,日本や東南アジアほどではありませんが,それでも相当伸びています。北米は景気後退の影響を一番厳しく受けた市場で,ようやく市況に改善の兆しが見られるようになりました。
世界レベルでNo.1を目指し
日本市場での存在感を増す
——今後のワールドワイドのビジネスの展望をお聞かせください。ビジネスを成長させるためにどのような戦略を考えていますか。
Larson Digi-Key社では,ここ数年のうちに国際販売高(米国を除く)が,米国内での販売高を超えると見ています。今年は,全販売高の約33%が米国国外のお客様向けに出荷されました。
Digi-Key社のグローバルマーケティング方針は実に簡潔明瞭です。
(1)広範囲な電子部品の即納を目標に:そのためには,競合他社に比べて在庫からの出荷をより多くしなければなりません。
(2)お客様のニーズに即応:Digi-Key社側のエラーは即座にそれをただし,お客様側のエラーでも即座にかつフェアなやり方で解決します。
(3)お客様に好かれるディストリビュータになる:Digi-Key社は,北米でお客様から好まれるディストリビュータとしてトップ・クラスにランクされていますが,世界レベルでもトップになれるよう努力します。

写真●次々と部品が出荷されるDigi-Key 社の製品配送センター
Digi-Key社では日本を特別な市場と見ています。Digi-Key社は設計技術者の方々へのサービスに重点を置いているディストリビュータとしてよく知られています。製品設計の多くが日本で行われるという点から,日本はDigi-Key社にとって重要な市場です。また,Digi-Key社が販売する部品の多くは,世界レベルと言われる日本の部品メーカーが作ったものです。Digi-Key社にとっても,私個人にとっても重要なことは,日本市場において,(1)部品の品ぞろえならDigi-Key,(2)一番サービスのいいのはDigi-Key——という評判を勝ち取ることなのです。
また,Digi-Key社は,“エコフレンドリー”企業を目指して,多くの変革を遂げています。世界中のお客様に配送していた総合カタログの発行部数を削減しています。商品の包装にも,生物分解性の包装材を使っています。年間の出荷件数が250万ですから,生物分解性包装材を極力使用することが,“エコフレンドリー”の視点からも,大変重要なのです。
※ 会社名、製品名は、各社の商標もしくは登録商標です。
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