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| 2002年6月3日号(No.823) |
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| 【Cover Story】 |
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五里霧中のデジタル・テレビ
不要論と向き合う
地上波デジタル・テレビ放送は2003年に始まるのか否か――。凍結論が声高に叫ばれる中,放送開始を切望する機器開発者が急増している。それはテレビ受像機の開発者ばかりではない。携帯電話機やPDA,カーナビの開発者も…。いつでもどこでも映像を見られる「モバイル・テレビ」,その実現手段としてデジタル・テレビ放送に期待がかかる。
4つの誤算が凍結論を生む 最終決着までカウントダウン
本当に始まるのか,あるいは急転直下,計画は凍結となるのか――。2003年末から東名阪を皮切りにスタートし2006年までに全国展開する予定だった地上波デジタル放送の実用化計画が揺れ動いている。
総務省および東京キー局を中心にした放送業界は,計画通り実施する方針で一致している。本来,この両者の思惑が一致すれば,なんの障害もなく計画は実行に移されるハズだった。しかし実用化計画の基本方針を決めた1998年には想定していなかった事態が次々と発生し,ここにきて混迷の色合いを深めている。混乱の直接のキッカケは,2001年11月に明らかになったいわゆる「アナ―アナ変換」費用問題である。デジタル放送とアナログ放送の混信を抑えるためには,アナログ放送の周波数を変更する必要がある。この作業がアナ―アナ変換だが,必要な費用は国が負担することになっている。当初はアナ―アナ変換費用を約850億円と見込んでいたが,実際には全然足りず2000億円程度掛かることが明らかになった。不足分の財源をどう確保するのか,これが大きな問題として浮上してきた。
もう1つの大きな誤算がブロードバンドの急進展であろう。放送番組は近い将来,ブロードバンド経由で家庭まで送信できるようになろうとしているのに,これほど巨額な国費を投入してまで放送をデジタル化する必要はなく「計画を凍結すべき」というデジタル放送不要論の浮上である。海外におけるデジタル放送やBSデジタル放送の大不振が,デジタル化不要論に拍車をかける。この不要論に押し切られてしまうと,アナ―アナ変換の費用を確保できず,計画そのものが崩壊の危機に瀕してしまう。
電機メーカー,放送前提に動く
こうした放送業界の混乱を横目でにらみながらも,多くのエレクトロニクス・メーカーは,地上波デジタル・テレビ放送の開始を前提に,受信機に必要な技術開発に本腰を入れ始めた。地上波デジタル放送には,今までのBSデジタル放送や現行のアナログ放送にはない大きな魅力があるからだ。それが,携帯機器やモバイル機器に向けた放送を実現できるということである。
既に携帯電話機やPDAなどテレビ受像機以外にもディスプレイを搭載した機器は数多くある。ほんのわずかな部品を追加するだけで,これらがすべてきれいな映像を表示するテレビに化ける可能性を秘めている。そして,新たな商品開発の可能性に気付き,既にヒト,モノ,カネが動き出したのである。
エレクトロニクス・メーカーがかたずをのんで見守る中,実用化計画をめぐる議論は山場を迎える。財源問題を含め最終決着するのは,早ければ2002年7月,遅くとも夏中とみられる。その行方には目が離せない。
<第1部>テレビの不振を尻目に モバイルに救世主の予感
テレビ受像機はもちろんのこと,携帯電話やPDA,カーナビ…など 多彩な機器の開発者が地上波デジタル放送に並々ならぬ関心を寄せている。
移動中の端末にも映像を乱れずに表示することができるという 地上波デジタル放送ならではの特徴に機器メーカーが目を付けたからだ。 ディスプレイを搭載するあらゆる機器がテレビに化ける可能性を秘める。
無線LANやブロードバンドなど,映像を端末に届ける競合技術が台頭する中 モバイル機器にデジタル・テレビの救世主としての期待がかかる。
<第2部>一枚岩になった放送業界 蚊帳の外の機器メーカー
泣かず飛ばずの米国,FCCの書簡を受け大きく前進
2003年まであとわずか,計画推進に賛否両論
多くの機器メーカーの注目が集まる中 地上波デジタル放送の是非をめぐって業界は大混乱に陥っている。台頭する不要論に,放送業界と総務省がこぞって反論するという構図だ。
放送業界は,計画通り実行するという方針で足並みをそろえる。 凍結論者は,放送もIPネットワークに乗るべきだと主張する。 こうした論争の蚊帳の外に置かれた機器の開発現場は
一刻も早く放送の内容を知りたいと待ち焦がれる。
<第3部>携帯事業者から「待った」 モバイル用の規格化が混沌
通話時間並みの視聴時間を確保へ,2年後には90分
もう1つのデジタル放送,ラジオがひと足早くスタート
モバイル機器に向けた地上波デジタル放送の規格策定作業が暗礁に乗り上げている。 放送業界が主体となって定めた規格案に携帯電話事業者が猛反発。
2つの業界の代表者が同じテーブルに着き 技術の詳細を調整すべく,躍起になっている。 そうはいっても,ビジネス・モデルを始め,一から十まで異なる2つの業界 両者の落としどころを探る攻防はしばらく続く。
機器メーカーは,規格策定の行方に翻弄されることになりそうだ。
(日経エレクトロニクス6月3日号より) |
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