[0.096mm]
種目:コンタクトプローブの直径
勝者:ヨコオ
半導体ができあがる。次の工程は動作チェックだ。以前ならば配線し,パッケージの状態になってからチェックしていた。製品として使う端子に配線すればチェックできる。ところがそれでは無駄が多い。チップ段階でオシャカになったものまでパッケージにしてしまうリスクがあるからだ。悪い芽は速く摘んだ方がよい。
それではチッブの状態のまま動作チェックをしよう。チップの上からプローブで触り,テスターと接続させる。線間の詰まった半導体を取り扱うにはプローブのピッチを詰める必要がある。詰めるためには細いプローブがいる。
細くてもしっかり伸び縮み
この分野での世界一はヨコオ(東京)。プローブの直径は0.096mm(図1),ピッチでは0.12mmだ。外径0.096mm,内径0.08mmのチューブの両側に接点として使うピボットが突き出し,中にコイルばね(図2)。ピボットが両側にあるのには理由がある。
一般のソケットを考えると,片方は接点,もう片方は配線がつながる。ピッチ0.12mmでは,これに1本1本配線する場所がない。仕方なく,試験対象のチップの反対側にもプリント基板を置き,そのパターンを使って,もっと広い場所から配線を取り出す。このためコンタクトプローブを大量に(8000ピンという例がある)突き刺したブロックを基板の前に取り付けたものをテストヘッドとして使う。プローブの片側はテスト対象のワークと,もう片側はテストヘッドの基板と接触する。
金をクラッド,またはメッキ
チューブは内側に金をクラッドしたニッケル銅の管(図3)。接触抵抗の少ない金で導通を確保する。ニッケル銅に金をクラッドしたブランクを深絞りし,内側が金,外側がニッケル銅の太いリングを作る。これをダイスで何度も何度も引き抜き加工し(図4),細い管にする,内側は2μmと厚く金がついている。これをメッキなどで済ませると耐久性が足りないという。
中にはコイルばね(図5)。これで両端のプランジャを外に向けて押し出す。
ブランジャの先をワークに押し当てて接触させる。線径0.016mmのばね鋼をコイルに加工する(図6)。巻き径は0.075mm。こちらは金メッキで十分。
プランジャはベリリウム銅の機械加工品。外径は0.073mmで,チューブと接触して電気を伝えるため,これも金メッキする。メッキ品でなく,金合金を使うこともある(図7)。
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管の中にコイルばね,両端に突き出したピボット。「どこかで見たような」と思う方もいるだろう。そう,腕時計のバンドを付ける“ばね棒”だ。実は同社は昔,その分野で圧倒的なシェアを持っていた。現在の製法はその流れをくむものだ。時計用のばね棒は香港をはじめとする海外生産に奪われ,付加価値の高いコンタクトプローブが国内に残った。世界一になるような高度な製品を持っていれば空洞化は怖くない――このことを示す好例と言える。(2001年4月号)
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【図1】ヨコオのコンタクトプローブ。使い古された表現だが,髪の毛より細い |
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【図2】断面図。プランジャが飛び出さないよう,チューブには外側から塑性加工でストッパを形成する |
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【図3】チューブ。金をクラッドして導通を確保する |
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【図4】チューブの製法。引き抜きを何度も繰り返す |
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【図5】中のばね。巻き径は0.075mm |
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【図6】コイルの製法。ロールで素線をダイスに押し付ける |
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【図7】プランジャの先端。旋削に慣れている方はお気づきだと思うが,細い径にもかかわらず中央に“へそ”がない。バイト高さの設定が正確な証拠だ |
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