| 従来の手法ではバグが取りきれない |
| Q:これまでにも貴社は,MPEG2デコーダ・コアの検証用IPとMPEG4デコーダ・コアの検証用IPを開発してきました。検証用IPとは何をするものなのでしょうか。 |
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扇 谷 氏 |
デコーダ・コアに入力するデータ・ストリーム(ES)を生成するソフトウエアです。パラメータをランダムに設定しながら,データ・ストリームを自動的に生成してくれます。このデータ・ストリームを機能検証に利用することによって設計不良(バグ)を見つけ出すのです。 |
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| Q:検証用IPが作り出すデータ・ストリームとは,どんな画像なのでしょうか。 |
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扇 谷 氏 |
デコードしても,画像としては認識できません。雑音にしかみえないデータです。検証用IPは,画像の品質をチェックするものではなく,デコーダの機能を検証するためのソフトウエアです。 |
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| Q:従来の機能検証作業とは,何が違うのでしょうか。 |
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扇 谷 氏 |
従来の検証作業ではコンフォーマンス・ストリームと呼ぶ,適合性試験のために規格化されたストリーム・セットを使ったり,エンコーダ・ソフトウエアの出力ストリームを使ったりしていました。この方法だと,検証漏れが残り,設計不良(バグ)をなかなか取り除けませんでした。 |
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峯 尾 氏 |
バグを可能な限り多く見つけ出すには,パラメータをできる限り変動させたストリームを使って検証する必要があります。われわれが開発した検証用IPは,パラメータをランダムに動かします。通常のエンコーダでは作れないストリームを生成してくれるのです。デコーダ・コアの設計者が想定していないバグを早期に見つけられるという大きなメリットがあります。 |
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| Q:ランダムにパラメータを動かすのであれば,ランダム関数を使えば良いのでは。 |
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峯 尾 氏 |
MPEGやH.264などの規格仕様では,パラメータが相互に関連しながら動くし,ストリーム上には現れない規格仕様に潜在するパラメータも多数存在し,それらにも制約があります。単純なランダムではありません。規格仕様の制約条件を組み込みながら,パラメータをランダムに動かさなければならないのです。 |
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扇 谷 氏 |
パラメータをエンジニアが直接指定することも可能です。指定した以外のパラメータは,検証用IPがランダムに設定します。ダイレクト・テストとランダム・テストの併用ということになります。 |
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| Q:検証用IPはどういったプラットフォームで動くのでしょうか。 |
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扇 谷 氏 |
機能検証ツール(注2)に組み込んで動かします。
(注2)米Verisity Ltd.(現在は米Cadence Design Systems, Inc.に買収されている)の機能検証ツール「SpecmanElite」。ハードウエア記述言語よりも抽象度の高い独自仕様の記述言語「e」を利用する。なおアイベックス テクノロジーの検証用IPは,e言語で記述されている。 |
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| H.264では検証用IPを先行して開発 |
| Q:H.264では,MPEG2のときと何か違いがありますか。 |
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峯 尾 氏 |
H.264では追加された符号化ツールが数多くあるため,MPEG2よりもパラメータの数が大きく増えました。このため,デコーダ・コアがMPEG2よりも複雑になっています。 |
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扇 谷 氏 |
そこでH.264ではデコーダ・コアの開発に先行して,検証用IPを開発しました。 |
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| Q:検証用IPを先に開発したのですか。 |
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扇 谷 氏 |
MPEG2のときは,デコーダ・コアの開発が先でした。このため,デコーダ・コアの開発段階でバグをなかなか取り除けませんでした。検証用IPを開発して設計検証に利用したところ,これまで見つからなかったバグを,簡単に発見できたのです。そこでMPEG4のデコーダ・コア開発では,検証用IPも同時に開発しました。そしてH.264では,検証用IPを先に開発したのです。先に検証環境を準備しておくことで,デコーダ・コアの開発期間を短縮できます。 |
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| H.264の規格仕様を熟知する |
| Q:H.264検証用IPの開発では,どのような点で苦労されたのでしょうか。 |
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峯 尾 氏 |
H.264の規格自体を理解する作業が大変でした。規格仕様書の内容をすみずみまで理解し,すべてのパラメータの関係や制約を把握しなければならないからです。 |
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| Q:開発された検証用IP自体の確からしさは,どのように確認したのでしょうか。 |
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峯 尾 氏 |
技術者に良く知られているエンコーダ・ソフトウエアとデコーダ・ソフトウエアがリファレンスとして存在していますので,このリファレンス・ソフトウエアを活用しています。検証用IPが生成したデータ・ストリームをリファレンス・ソフトウエア(デコーダ・ソフトウエア)に入力し,正常に出力するかどうかを計算値と比較するのです。
出力せずに異常終了したり,出力結果が意図した値と食い違ったりしている場合は,リファレンス・ソフトウエアまたは検証用IPのどちらかにバグが存在していることになります。そこでどちらかを修正し,再びデコーダ出力を計算値と比較し,再び修正するという繰り返しです。 |
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| Q:開発期間はどのくらいでしたか。 |
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扇 谷 氏 |
2004年4月から開発を始め,1年と少しかかっています。 |
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| Q:検証用IPの市場への供給は。 |
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扇 谷 氏 |
すでに始めています。 |
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| Q:話題が変わりますが,過去に「MPEG2 ビデオデコーダ検証用IP」の開発で第5回のIP賞を,「MPEG4ビデオデコーダ検証用IP」の開発で第6回のIP賞を受賞されていますね。そして今回はH.264の検証用IPで,さらに上のランクであるIP優秀賞を受賞されました。 |
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扇 谷 氏 |
H.264のデコーダ・コアは,開発がこれから本格化します。応募のタイミングが良かったことが優秀賞に結びついたと考えています。MPEG2のデコーダ検証用IPを開発したときには,MPEG2デコーダ・コアはすでに枯れた技術になっていましたから。 |
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| Q:過去にIPアワードを受賞されたことで変化は何かございましたか。 |
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扇 谷 氏 |
お客様のわれわれに対する,信頼感が上がったと感じています。MPEGやH.264などの規格仕様や検証手法に精通しているとご認識いただいているようです。 |
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| Q:本日はどうもありがとうございました。 |