東芝は,3層の記録層で容量51Gバイトの容量を実現した再生専用HD DVDを開発した。HD DVDのハイエンド・ディスクとして2007年内の規格化を目指すという。「実用化は,早くても2008年になるだろう」(東芝の幹部)。

 同社は,3層の記録層で45Gバイトを実現した光ディスクを2005年に開発している(Tech-On!関連記事)。今回,主に線記録密度を高めることで,1層当たりの容量を15Gバイトから17Gバイトに向上させた。トラック・ピッチも少し狭めているもよう。これを3層重ねることで,Blu-ray Discの2層50Gバイトを超える容量を実現した。「映画会社がもし容量が心配というのなら,HD DVDでもディスク1枚あたり50Gバイトは可能なのだということを示したもの」(同幹部)と位置付ける。

 ただし,既に市場に流通しているHD DVD再生装置で3層ディスクを再生できないとすれば,ハイエンド・ディスクの登場は逆に消費者の混乱を招きかねない。この点について東芝は,現行のHD DVDプレーヤーについてファームウエアの変更のみで新規格に対応できるかどうか,検証を行っているという。

 東芝 デジタルメディアネットワーク社 首席技監の山田尚志氏によれば,既存のHD DVDプレーヤーでも1層17Gバイトの記録層を再生するのは難しくないという。「記録層を15Gバイトに設定したのは,ディスクの量産時の歩留まりを考えてのこと。現行のHD DVDプレーヤーのハードウエアは,17Gバイトのディスクを再生できるポテンシャルを十分に持っている」(山田氏)。一方,2層媒体の再生に対応する光ヘッドをファームウエアの変更のみで3層対応にできるかについては,十分な検討が必要になるという。